備えていますか?家族の防災

自然災害が多い国として知られる日本。いざ被災した時に、危険や不安を減らすためには、子どもにどのようなことを教え、家庭ではどのような備えをしたらよいのでしょうか?家族でできる取り組みを紹介します。

家族みんなで、防災について考えよう

 地震や台風、洪水など、毎年のようにさまざまな災害に見舞われる日本。日本は世界のなかでも、自然災害が多い国として知られ、私たちは自然の脅威と隣り合わせで暮らしています。
 そんな日本で子育てをする私たちは、防災グッズを用意しておいたり、すぐに身を隠せるようにテーブルの下に物を置かないようにするなど、日頃から各家庭で防災の備えをしておくことが必要です。そのうえで子どもにも、小さなうちから自分の命を守るための行動や心構えを教え、防災意識を育む視点が大切だと言えるでしょう。
 そこで今回は、小さな子どものいる家庭で備えたい防災対策や、子どもと一緒に防災について学ぶために家族で取り組める工夫を紹介します。いざ災害に見舞われてしまった時に、落ち着いて行動し、少しでも危険や不安を減らすことができるように、家族で防災について考える機会としてください。

クイズで学ぼう! 地震が起きた時どうする?

自然災害のなかでも予測が難しく、突然起こる地震。地震の時の行動を、子どもにクイズで考えてもらいましょう。小学校入学後に、子どもだけで行動するようになった時にも役立ちますよ。

第1問
家のなかで地震が起きたよ! こんな時どうする?
1.大事なおもちゃを取りに行く
2.テーブルの下に隠れる

答えは、2
家のなかで地震が起きたら、テーブルの下に隠れよう。上から物が落ちてきた時に守ってくれるよ!

第2問
外を歩いている時に地震が起きたよ! こんな時どうする?
1.走って逃げる
2.家のへいから離れて、頭を守る

答えは、2
揺れている時に、走るとあぶないよ。家のへいが倒れてケガをすることがあるので、大人の言うことをよく聞いて、頭を守る姿勢をとろう。

第3問
海の近くで地震が起きたよ! こんな時どうする?
1.海を見に行く
2.海の近くから離れる

答えは、2
地震が起こると、津波が起きることがあるよ。海には近づかないようにしよう。

第4問
地震の後に火事が発生したよ! こんな時どうする?
1.火事から離れて、大きな声で大人を呼ぶ
2.その場所でじっとしている

答えは、1
地震の後には火事が起きることがあるよ。見つけたら、その場を離れて大人に教えよう。

《ダンゴムシのポーズを覚えよう》
 机の下などに隠れることができない状況では、「ダンゴムシのポーズ」をとることを教えましょう。頭を守るために、危険なものにお尻を向け、ひざとひじを床につけて、手は頭を抱えるように上で組みます。「ダンゴムシのポーズ!」のかけ声で、この姿勢になれるように練習しておくとよいですね。

そろえておきたい防災グッズ

非常持ち出し袋に入れておくとよいもの

避難指示が出た時に、すぐに持ち出せるように用意しておくのが「非常持ち出し袋」。小さな子どもがいる場合は、次のようなものも入れておくとよいでしょう。

<ヘッドライト>
暗闇で、子どもを抱っこしながら歩く時などに重宝。

<おもちゃ・おやつ>
子どもの不安を減らせるよう、普段のものを持参しましょう。

<赤ちゃん用のおしりふき>
入浴できない状況でも、体を拭くなどしてあげられます。

<携帯トイレ>
避難所では、トイレが不足しがち。ぜひ持参して。

<敷マット・バスタオル>
子どもを床に寝かせたい時に便利。バスタオルは、肌かけにも。

※ほかにも、母子手帳や常備薬、授乳や離乳食、おむつ替えなどに必要なものを持参するようにしましょう

自宅避難に備えよう

災害時の避難所は満員になりがち。特に小さな子どもがいると、長期間の避難所生活は難しいこともあります。自宅避難に備えて、次のようなものを用意しておきましょう!

▶食料、水をローリングストックで
災害時に必要な水や食料の備蓄は「最低3日分」だと言われています。普段の食品を少し多めに買い置きしておき、日常生活で消費した分を買い足す「ローリングストック法」を取り入れながら、十分な量を確保しておきましょう。水は1人あたり、1日3リットルを目安に備蓄します。

食材リスト
・レトルト食品
・パックごはん
・缶詰
・チョコレート
・乾パン
・ホットケーキミックス
・野菜ジュース

▶災害用簡易トイレ
大人が1日にトイレに行く回数は平均5回。多めに用意しておくと安心です。おむつが外れていない子がいる場合は、おむつも多めに用意しておきましょう。

▶ランタンなどの明かり
懐中電灯のほかに、家族で囲むことのできる電池式のランタンなども用意。廊下や玄関などには、電池式の人感センサーライトなどを設置しておくとよいでしょう。

▶スマートフォンの充電グッズ
情報の取得に役立つスマートフォンの充電に欠かせないのが、モバイルバッテリー。大容量のものや電池式のものなど、停電時でも使用できるものを。

▶カセットコンロ
停電時の調理に活躍。

▶電池やカセットコンロ用のガスボンベ
食料と同じくローリングストック法で備蓄するのがおすすめ。いざという時に慌てずにすみます。

キャンプごっこで非常事態を体験!

電気やガスが使えないなどの災害時に似た状況を体験できるのがキャンプ。おうちでも、電気・ガス・水道を使用せずに生活する「キャンプごっこ」をしてみませんか? リビングにテントを張れば、子どもも大喜び! どのような備えが必要かを考えるきっかけにもなりますよ。

◆ランタンの明かりだけで過ごしてみよう
停電時の真っ暗な状況を想定し、ランタンの明かりだけで過ごしてみましょう。

◆災害用トイレを体験
使用方法などを確認して、慣れておくとよいでしょう。

◆暗闇で調理にチャレンジ
カセットコンロを使用し、暗闇のなかで調理に挑戦。どのようなことに不便を感じるのか実感できます。

節水調理に挑戦!

湯煎ができる高密度ポリエチレン製の袋を使って、節水調理に挑戦してみましょう。使い終わった後のお湯の使い回しが可能なうえに、お皿や調理器具を洗うための水も節約でき、水が使えない状況で役立ちます。

※必ず、耐熱温度の高い調理用のポリ袋を使用してください

① 調理用のポリ袋に1~2人分の食材(野菜や肉など)を入れて、空気を抜いて根元からねじって結ぶ。
② 熱が通りやすいように、袋のなかの食材を均一に広げる。
③ 鍋の底にポリ袋が直接当たらないように、皿を敷いてから水を沸騰させ、②を入れてふたをして加熱する。

※できあがった料理を袋ごと皿にのせ、袋の上部をはさみで切って開くと、皿を汚さずに食べられます

☆月刊誌『灯台』2023年5月号「子育てプラザ」より転載