歯の健康を保つ習慣は、早いうちから身につけておくことが大切。今回は、家庭でできるケアの方法を紹介します。
今日から実践!健康な歯を育てる習慣を身につけよう
人生100年と言われる時代。いつまでも元気に過ごし続けるために、歯の健康を維持することの大切さが、近年改めて認識されるようになっています。歯が体の他の組織と大きく異なる点は、再生機能がないこと。一度、虫歯になって歯を削ったり、歯周病で歯が抜けてしまったりすると、元の状態に戻すことはできません。歯の健康状態が悪化すればするほど、できることも限られ、歯医者さんにかかるための経済的な負担も大きくなります。そういった意味でも、虫歯がひどくなってから治療をしたり、年齢を重ねてから慌ててケアを意識したりするのではなく、早い時期から歯の健康を守るための習慣を身につけておくことが大事です。
健康な歯を育てるためには、幼児期からのケアがポイント。また、家庭内での習慣づけが、子どもの歯の健康に大きな影響を与えます。家族みんなで、毎日楽しくオーラルケアをしていきましょう!
全身の健康に直結! 歯が大切と言われるのはなぜ?
元気に食べるために重要なのが「歯」の健康。歯を失って、食べることの難しさを実感してから、歯の大切さに気づく人が少なくありません。
大人が歯を失う最も大きな原因は歯周病。進行すると、歯を支える骨や歯肉などが炎症を起こし、破壊されていきます。また歯周病は、糖尿病、心疾患、脳血管疾患、がんなど、さまざまな病気と関係することもわかっており、口のなかの状態が全身の健康に与える影響の大きさが注目されています。
いつまでも健康な歯を守るためには、子どものうちから自宅で正しいケアをすると同時に、定期的に歯医者さんのチェックを受け、歯の健康に関心を向ける姿勢を養うことも大切。
幼児期から意識したい「虫歯予防」と「歯並びづくり」
歯の健康は、毎日の習慣で保つことができます。幼児期には、次の2つのポイントを意識しましょう。
◆虫歯予防
小さいうちから正しいブラッシングを習慣づけましょう。
◆歯並びの土台づくり
歯並びは、遺伝だけではなく生活習慣とも関係しています。歯の並ぶスペースをつくるためには、あごをしっかりと成長させることが大切。骨格に影響を与えたり、口周りの筋肉の発達を損なったりする悪習慣に注意してあげましょう!
上のそれぞれのポイントについて、次ページで詳しく解説します!
虫歯や歯周病を予防!正しいブラッシングのポイントとは?
歯ブラシに歯磨き粉をつけてごしごしこすっただけでは、「十分に磨けている」とは言えません。正しいブラッシング方法を確認しましょう。
◆仕上げ磨きのポイントは?
自分で磨けるようになっても、仕上げ磨きは必要です。1日1回は、大人の手で仕上げ磨きを行いましょう!
<前歯の外側>
上くちびると歯茎をつないでいる
「スジ」の部分に歯ブラシが当たると痛がることが多いので、スジの部分に指を当てて隠したうえで、左右に小刻みに動かします。
<姿勢>
膝の間に頭を入れて安定させます。
<奥歯の外側と内側>
歯ブラシの角度を45度くらいにして(下図参照)、歯と歯茎の境目も磨きましょう。
<前歯の内側>
歯ブラシを縦にして、毛の先端で磨きます。
<歯ブラシの持ち方>
力が入りすぎないようにペンのように持ちます。
<奥歯の溝>
奥歯の噛み合わせの溝は、特に歯垢が残りやすい場所。歯ブラシを奥から手前に動かして、かき出すように磨きます。
《ママ・パパ世代の歯磨きは、歯周病ケアを意識!》
30代以降になると急激に始まる歯周病。大人になると、虫歯のリスクより歯周病のリスクのほうが高まります。その最大の原因が、磨き残した歯垢(プラーク)に潜む歯周病菌。歯周病菌は、「歯と歯肉の境目」や「歯と歯の間」に好んで集まります。磨きにくい箇所でもありますので、歯ブラシを適切に使うのと同時に、デンタルフロスや歯間ブラシなども併用し、1日1回は鏡を見ながら1本1本の歯を丁寧に磨くことをおすすめします。
歯周病はゆっくりと進行し、初期は自覚症状に乏しいことが多いので、歯医者さんで定期的に検診やクリーニングを行って、予防に努めることも大切です。
幼児期が肝心!歯並びに影響する「生活習慣」
毎日何気なく行っている習慣が、子どもの歯並びを悪くする原因になっている可能性が。以下のような習慣には注意してあげましょう。
◆口呼吸
口呼吸をしていると、舌が正常な位置よりも低い状態になりがち。その結果、あごの発達や、歯の周りの筋肉のバランスに影響を与え、歯並びを悪くさせます。鼻詰まりで鼻呼吸がしにくくなっている場合もあるので、耳鼻科にも相談してみましょう。
◆指しゃぶり、頬杖、うつぶせ寝
指しゃぶりは、前歯にとても強い力がかかるため、出っ歯などを誘発してしまいます。3歳以降は指しゃぶりを卒業させましょう。また、頬杖やうつぶせ寝なども、噛み合わせや顔の骨格の発育に影響を及ぼす可能性があると言われています。
◆噛まない食事
子どもでも食べやすい、小さめで柔らかい食べ物は、噛む回数が少なくなり、あごの成長のために必要な刺激が不十分。前歯を使ってかぶりつけるサイズの食べ物や、しっかり噛まないと飲み込みにくい繊維質のものをよく食べさせることを心がけましょう。
《知っていますか? 正しい舌の位置》
通常は、舌の先端は上の前歯の根元に、舌全体は上あごについていて、口のなかが常に舌でうまった状態ですが、舌の筋力が弱いと舌が下がってしまいます。そうすると、舌で前歯を後ろから押すようにして、ものを飲み込みます。また、舌が上あごの骨を押す刺激が不足するため、上あごがうまく成長しません。その結果、歯並びや噛み合わせが悪くなりやすくなります。舌の位置を改善するトレーニング方法などもありますので、気になる場合は歯医者さんに相談してみましょう。
☆月刊誌『灯台』2023年1月号「子育てプラザ」より転載