親子で実践!怒りの感情との向き合い方

かんしゃくを起こす子どもに、イライラのママやパパ!怒りのエネルギーは身近な人に連鎖します。子育てを苦しくしてしまう怒りの感情にどのように向き合ったらよいのでしょうか。

親子の関わりのなかで怒りとの向き合い方を学ぼう

 子どもにかんしゃくを起こされると、ママやパパもイライラしてしまいがち。感情的になっている時には、お互いに怒りをぶつけてしまうこともありますよね。ママやパパも、ついつい〝怒ればなんとかなる〟などと思うことがあるのではないでしょうか。
 怒られると怖いので、子どもは言うことを聞くかもしれません。でも、そんなふうに過ごしていては、家庭内は常にいら立ちにあふれ、下手をすれば、親子の関係にも悪影響が出てしまうかもしれません。
 子どもは、たくさんの人とのつながりのなかで育ちます。時には、それぞれの思いが食い違い、うまくいかないことに憤りを感じることもあるでしょう。そんな時に、衝動的に怒るのではなく、上手に相手に気持ちを伝えることができるようになったら、人生をより良く生きることができそうですよね。子どもは親のまねをして育ちます。怒りの感情との向き合い方を、親子で一緒に学んでいきましょう。

我慢すべき?怒りの感情が教えてくれる自分のココロ

一般的に、怒りには良いイメージがないかもしれません。しかし、怒りは人が感じる自然な感情で、その背景には、「不安」「心配」「苦しい」「困惑」「落胆」「悲しい」「寂しい」「痛い」「怖い」などのマイナスの気持ちが隠れています。その気持ちを感じるのがつらいから、怒りで、本当の感情にフタをしてしまうのです。
怒りを感じたり、人が怒っている様子を見かけたりしたら、その背景にどんな気持ちがあるのかを考えてみると、自分や相手の本当の思いや願いなどに気づくきっかけになるかもしれませんね。

怒りを感じたら、ちょっとひと息!衝動的に怒らないための工夫

怒りの感情を衝動的に出すと、相手に伝えたいことが伝わらないうえに、関係性を悪化させてしまうこともあります。落ち着いて向き合う時間をとってみましょう。

◆ひと呼吸おく
怒りの感情のピークが過ぎ去るまで、ひと呼吸おく。ストレッチなどをしてもよいですね。子どもの怒りが高まっている時には、子どもの高さまで目線を落とし、手を握ったり、ぎゅっとハグしてみてもよいでしょう。

◆その場を離れる
その場にいると感情がコントロールできなくなりそうな時には、「ママは今、イライラしているから、隣の部屋でリラックスしてから戻ってくるね」などと伝え、その場を離れてひと息つき、感情をリセットします。子どもの感情が高まって友だちに手が出そうな時などにも、「気持ちを落ち着けてこようね」と子どもと一緒にその場を離れ、子どもの気持ちが落ち着くのを待ってから戻りましょう。

怒りの裏にある本当の気持ちを上手に表現するために

良好な人間関係を築いていくためには、怒りの裏にある本当の気持ちを上手に表現する必要があります。相手に気持ちを伝えられれば、怒る必要もなくなりますね。まずは、大人が上手な気持ちの伝え方のお手本を見せられるとよいですね。

◆気持ちを表す言葉を集めてみよう
自分のなかにある感情を表す言葉には、どのような言葉があるでしょうか? マイナスの気持ちだけではなく、プラスの気持ちを表す言葉もたくさん集められるとよいですね。日頃から、感情を表す言葉を使って親子でコミュニケーションをとっていると、子どもも怒りの背景にある気持ちを、別の言葉で表現する方法を学んでいくことでしょう。

<プラスの気持ちを表す言葉>
うれしい、楽しい、好き、幸せ、おいしい、安心、心地よい、すっきり、なごむ

<マイナスの気持ちを表す言葉>
怖い、悲しい、苦しい、嫌い、痛い、心配、恥ずかしい、ねたましい、困った、残念、不安、戸惑う、かわいそう、焦る、緊張する

◆「気持ち」と「リクエスト」を伝えよう
「どうして、あなたは乱暴ばかりするの?」などと、〝あなた〟を主語にした表現は、相手を責める意図が感じられます。「私はあなたの行動に悲しくなるの」といった、〝私〟を主語にした自分の気持ちを伝える表現なら、受け入れやすく感じませんか?
そのうえで、「こうしてくれるとうれしい」「できれば〇〇してほしい」といったリクエストとして伝えると、思いがスムーズに伝わる可能性が高くなります。怒りの感情を上手に言葉にして、コミュニケーション上手を目指しましょう。

わかってほしい! 助けてほしい!
子どもの怒りの裏側にある気持ちに目を向けよう

子どもは、〝気持ちをわかってほしい〟〝困っているので助けてほしい〟〝不安な気持ちがあふれてしまった〟など、言葉にできない心のモヤモヤを怒りで表現します。そんな時に大人ができるのは、子どもの気持ちを言葉にするお手伝い。子ども(=相手)の言動ではなく気持ちに目を向けると、落ち着いて関わりやすくなりますよ。

① まずは落ち着くのを待つ
子どもの感情のピークが落ち着くまで、待ってあげましょう。ぎゅっと抱きしめるなど、前述の「衝動的に怒らないための工夫」も参考にしてください。

声かけの例
「○○ちゃんの気持ちが落ち着くまで、待っているね」

② 子どもの気持ちを確認する
少し落ち着いてきたら、「○○が悔しかったのかな?」などと、表現できていない子どもの感情の言語化を手伝ってあげましょう。ママやパパにわかってもらえたという安心感につながります。

声かけの例
「ダメって言われたから、悲しかったのかな?」

③ 子どものリクエストを聞いてみる
本当はどうしたかったのかを聞いてみましょう。怒りに任せずに、自分の思いを相手に伝える練習になります。リクエストがかなわない時には、その理由を子どもに伝えます。再び、感情が高まることもあるかもしれませんが、気持ちが落ち着くのを静かに待ちましょう。

声かけの例
「○○くんが使っているおもちゃを使ってみたかったんだね。貸してって言えるかな?」「○○くんもまだ遊びたいみたいだね。『終わったら貸してね』って、伝えてみようか」

☆月刊誌『灯台』2022年11月号「子育てプラザ」より転載