身だしなみを自分で整えることは、子どもの自立心につながります。身だしなみを意識させて、自分でできることを増やしていきましょう。
身だしなみを整えることを、当たり前の習慣に
〝まだ小さいから〟と、子どもに身だしなみを意識させずに過ごしていませんか? 身だしなみとは、「相手を不快にさせない清潔な服装や振る舞い」のこと。たとえ小さい子でも、食べもので口の周りが汚れたまま、下着がはみ出したまま、髪に寝癖がついたままなど、身だしなみが乱れた状態だと不潔な印象を与えてしまいます。
身だしなみを整える習慣は、日々の生活のなかで、当たり前のこととして繰り返すことで身についていきます。小さいうちから、入浴や歯磨きなどで体を清潔に保つことを習慣化し、徐々に自分の力で、できるようにしていきましょう。自分で服を着られるようになったら、服装の乱れを整えることも意識させていくとよいでしょう。
自分で身だしなみを整えられることは、子どもの自信や自立心にもつながります。きちんとするように言って聞かせるのではなく、少しずつ意識づけをしながら、習慣化するのがコツ。ゆっくりと、子どもが自分でできることを増やしていきましょう。
身だしなみの基本は、生活習慣から
身だしなみの基本は、基本的な生活習慣を身につけ、体を清潔に保つこと。子どもが楽しく習慣化していける工夫ができるとよいですね。ママやパパにしてもらう状態から、発達に応じて、少しずつ自分でできるようにしていきましょう。
◆お風呂に入る
お風呂嫌いな子には、お風呂で遊べるおもちゃを用意したり、泡をたくさんつくって遊んだり、お風呂の時間が楽しくなるような工夫をしてみるとよいですね。泡で遊ぶ延長で、自分一人で体を洗うことにもチャレンジを!
◆歯を磨く
3歳くらいから、ママやパパのまねをしながら自分で磨く練習をしてみましょう。うまく磨けていなくても、たくさんほめて気分を盛り上げてくださいね! 小学校低学年までは、正しい磨き方を少しずつ教えながら、仕上げ磨きも欠かさずに。
◆顔を拭く・洗う
朝起きたり、食事をした後に、濡れたガーゼやタオルで顔を拭きましょう。水を怖がらないようなら、顔を洗う練習もスタート。洗面所だとやりにくいので、お風呂場で洗面器にお湯をためて顔を洗う練習から始めるのがおすすめです。
◆爪を切る
新陳代謝が活発な子どもは、大人よりも爪が早く伸びます。少なくとも週に1度は爪の状態をチェックして、伸びたら切る習慣づけを。「手のひら側から指を見て、爪が見えていたら教えてね」と、子どもにも伝えておきましょう。お風呂上がりは爪が柔らかくなりすぎるので、深爪をしないように注意しましょう。
◆服をきちんと着る
トイレトレーニングが進んで、子どもが自分でパンツやズボンの上げ下ろしをすることに慣れてきたら、シャツをズボンに入れることを教えます。子どもがシャツを入れようとしている時に、前は自分で入れさせ、後ろ側をさりげなく手助けしたりして、子どもに〝自分でできた!〟と思わせることがやる気アップのコツ。
身だしなみって何?
まちがいさがしで理解を深めよう
身の回りのことが自分でできるようになったら、自分で身だしなみを意識して行動できるように促していきましょう。とは言っても、その都度、子どもを注意していては、やる気を奪って逆効果になることも……。まずは、「身だしなみを整える」とはどんなことなのか、悪い例と良い例を見てイメージしてみましょう。
上の絵を見て、どこを直したらよいのかを考えて親子で話し合ってみましょう。
わからない場合には、下の絵と上の絵を見比べて、違う箇所をさがしてみるとよいですよ。
<答え>
かみのけがぼさぼさ/くちのまわりによごれがついている/シャツのすそがでている/くつのかかとをふんでいる/はなみずがでたままになっている/シャツのボタンがとめられていない/てがよごれている/くつしたがさがっている
鏡を見る習慣を身につけよう
鏡で自分の姿を見て、顔についた汚れや乱れた服装を確認するように促していきましょう。子どもが自分で身だしなみを整えやすくなるはずです。
リビングなどの子どもの目につく場所に鏡を置いて、朝起きた時や、登園前などにチェックする習慣を身につけましょう。姿見などでもよいですし、スペースがない場合には、壁に貼れる鏡を両面テープなどで貼ってあげてもOK。
また、鏡と一緒に、ヘアブラシやティッシュを置いておくと、自分で身だしなみを整える練習ができて便利です。朝起きた時や鼻水が出ている時に鏡の前に連れていき、「髪の毛をとかそうね」「鼻水が出ているから拭こうね」などと声をかけます。
毎日の習慣の積み重ねで、少しずつ自分で身だしなみを整えることを意識づけしていきましょう。
▶できることが少ないうちは「汚れたら教える」の習慣づけを
1歳くらいだと、子どもができることは限られています。まずは、「汚れたらママやパパに教える」ことから、促してみてはいかがでしょうか。汚れをきれいにすると気持ちがよいという感覚を身につけさせてあげましょう。
☆月刊誌『灯台』2022年9月号「子育てプラザ」より転載