テレビ・スマホ・パソコン メディアとの付き合い方を考えよう

近年、急速に普及した新しいメディア機器。幼い子どもたちにも、メディアと長時間の接触をしている様子が見られます。メディアと上手に付き合える子を育てるためにはどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか?

メディアと上手に付き合える子を育てるには?

 従来のテレビやビデオに加え、スマホやパソコンなど、新しいメディア機器が急速に普及したここ数年。コロナ禍でおうち時間が増えたこともあり、幼い子どもたちのなかにも、メディアと長時間の接触をしている様子が見られるようになってきています。
 子どもの想像力を豊かにし、新しい知識を得たり、興味を広げるきっかけにもなるメディアは、今や子どもにとってもなくてはならない存在です。また、家事や仕事で手が離せない時に、子どもの関心を惹きつけてくれる点でも、子育て中のママやパパの頼もしい味方となってくれていることでしょう。
 しかし一方で、メディアに長時間接するばかりで、家族や友だちとの関わりが減ってしまうような使い方をさせていると、子どもの発育にマイナスの影響を与えてしまう可能性も。これだけメディアが普及している今、幼いうちから、メディアと上手に付き合えるように意識していくことが必要だと考えられます。
 今回は、メディアを子育てに上手に生かし、メディアと上手に付き合える子を育てるために、私たち大人はどのようなことを心がけたらよいのかを考えていきたいと思います。家族でメディアをよりよく活用するためのヒントとしてくださいね。

メディアとの付き合い方を間違えると

 私たちの生活に欠かすことのできないメディア機器。
使用時間が長くなりすぎることで、子どもたちにはどのような影響があるのでしょうか?

生活リズムや健康への影響

 テレビやスマホの画面を、なんとなく子どもに見せていませんか? 特に、夜遅くまでメディア機器に接していると、寝る時間が遅くなって睡眠と覚醒のリズムが乱れたり、深い睡眠が得られにくくなったりと、子どもの成長と発育に悪影響を及ぼす可能性が考えられます。また、画面を見るばかりで、外遊びの機会が不十分になると、視力の悪化や筋力の低下なども心配されます。
 幼児期は基本的な生活習慣が形成される時期ですので、メディアに関しても、健全な接し方ができるように習慣づけていくことが大切です。

社会性の発達やコミュニケーション面での影響

 幼児期は、社会性の基盤を育む時期。さまざまな遊びの体験や、家族や友だちなどとの関わりを通じて人と触れ合う喜びを知ることが大切です。しかし、メディアに接するばかりで、人との関わりが減ってしまうと、相手の気持ちを思いやったり、人と上手に付き合うために自分の行動をコントロールしようという対人関係能力の基礎が育つ機会が失われてしまうかもしれません。家族や友だちとの関わりなど、メディアだけでは得られない経験も、意識して広げていく必要があると考えられます。

チェック! わが家のメディア習慣

ママやパパが忙しい時に、「ちょっとこれ見ててね」と子どもの相手を任せられるメディア機器。頼りになる存在ですが、使い方を子ども任せにしていては、上手な付き合い方は身につきません。下記のチェックリストを、ご家庭のメディアとの付き合い方を見直すきっかけにしてみてください。

🔲外遊びや手指を動かして遊ぶ時間、場面が減っている。
🔲家族や友だちと、直接会って遊ぶ時間が減っている。
🔲テレビや動画を見ていて、夜寝る時間が遅くなっている。
🔲「〇時まででやめる」「約束時間を守る」「見終わったら消す」などが、きちんとルール化されていない。
🔲子どもだけで長時間見せっぱなしにするような視聴のさせ方をしている。
🔲見ている番組や動画の内容を保護者が把握して、管理していない。
🔲「食事の時には見ない」「人と話している時にはスマホを使わない」「長時間の利用は避ける」など、メディアに接触する時に大人が子どものお手本となるような使い方ができていない。

チェックがついた項目について、どのような対策がとれそうかを考えてみましょう。

子どもをメディア漬けにしないために

メディアと程よい距離感で付き合えるようになるために、子どもにとって楽しい遊びがメディア機器の利用に偏らないような工夫ができるとよいですね。また、子育てをメディアに頼りすぎなくてもママやパパが家事や息抜きの時間を持てるよう、周囲の人が協力していくことも大切です。

・親子で遊ぶ時間を増やす

・お手伝いをしてもらう

・音楽をかける

・協力して子育てをする

メディアとの付き合い方
わが家のルール

メディアと上手に付き合うには、メディアを使ううえでのルールづくりが重要です。
次のようなことに配慮しながら、ご家庭ごとのルールを考えましょう。

<時間に関すること>
1日の生活のなかにバランスよくメディア活用を取り入れることができるように使用時間などのルールを決め、利用開始前に「ここまで」と子どもと約束して、納得させたうえで利用するなどの工夫をしてみましょう。

<使用する場所に関すること>
テレビやスマホを利用する時には、リビングで使うなど、場所についてのルールも作成するようにしましょう。

<内容に関すること>
子どもだけで長時間使わせることはなるべく避け、映像なら家族で一緒に見る、ゲームなら一緒に楽しむ時間をつくり、内容が子どもの心身の発達バランスに合っているものかをチェックするようにしましょう。

<ママやパパの使い方に関すること>
小さい子どもは、親の行動や習慣から多くのことを学びます。「ママのSNSやパパのゲームはいいけれども、子どもはダメ」といったことがないよう、大人のメディア機器の利用の仕方についても見直してみる必要があるかもしれませんね。

◆家族のコミュニケーション形成に役立てよう!

子どもが好きなテレビ番組などには、子どもがどのようなことに興味を持っているのかを知るヒントが溢れています。自分の好きなことにママやパパが関心を持ってくれるのは、子どもたちにとっても大きな喜び。会話がはずむきっかけにもなりますね。メディアを上手に活用して、家族のコミュニケーション形成に役立ててみましょう。

☆月刊誌『灯台』2022年5月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載