視力不良のサインに気づこう

幼児の視力不良は、子ども自身に自覚がないことが多く発見が遅れがちな傾向にあります。将来の目の健康のためにも、親が不調に早めに気づいて対処してあげることが大切です。

親だからこそ気づける視力不良のサインを見逃さないようにしよう

 令和2年度の学校保健統計調査(文部科学省)によると、幼稚園児で裸眼視力が1・0未満の子どもの割合は27・9%(約3・6人に1人)にも上りました。さらに、小学校に上がると、裸眼視力が1・0未満の子どもの割合は37・5%(約2・7人に1人)に増え、年齢が上がるにつれて、視力不良の子どもが増える傾向にあります。
 きちんと見えていないと、学びや日常生活に支障が出ることもありますので、早期発見がとても大切です。ただし、子どもの場合、自分で「見えていない」ことを自覚しにくいため、発見の機会を逃してしまいやすい傾向があります。「はっきりと見える」経験をしたことがない子どもは、ぼんやりとしか見えなくても、それを普通のこととして受け入れてしまっているケースが多いのです。
 子どもの目の健康を守るためにも、親だからこそ気づける視力不良のサインを見逃さないようにしましょう。例えば、何かを見る時に目を細めて見ていたり、極端に近づいて見ようとするなどの行動があるようなら、注意したほうがよいでしょう。気になることがあれば、早めに眼科を受診することをおすすめします。

成長とともに発達する子どもの視力

 生まれたばかりの赤ちゃんは、ものの明暗がわかる程度。さまざまなものを「見る」ことで、脳に刺激が伝わることによって、成長とともに徐々に視力が発達していき、およそ6~8歳頃までに完成します。
 視力が発達するこの時期に目の病気・異常・けがなどによって視力が正常に発達しないと、その後は見る能力が育たず、視覚障害が起こることもありますので、不調がある場合には、早期に発見して、治療することが大切です。

<視力の発達>

こんな行動が見られたら要注意!

子どもにこんな行動が見られたら、視力に異常があるかもしれません。様子が気になる時は、早めに眼科を受診することをおすすめします。

視力低下を防ぐ生活習慣を見直そう

 昔から、「親が近視だと子どもも近視になりやすい」と言われていますが、近視の要因は、遺伝だけではなく、環境も関係すると考えられています。
特に、親が近視でその程度が強いほど、近視にならないよう生活習慣に配慮する必要があります。

外で過ごす時間を増やす

 近視のリスクを減らすためには、日光にあたり外で遊ぶことが、最も有効な方法とされています。日光にあたる外遊びが少ない子どもは、近視になりやすいという報告もあります。理想は1日2時間程度、外遊びを通じて太陽の光を浴びましょう。

近くを見る作業は、休みながら行う

 近くを見る作業が増えることで、目に負担がかかり、近視になるリスクが高まります。目を休ませるために30分に一度は遠くを見るなどして、休憩をとるようにしましょう。
 テレビを見る時には十分に距離をとり、例えば「CMの間は必ず遠くを見るようにする」などのルールを決めておくのがおすすめです。また最近は、スマートフォンや携帯ゲーム機などを、小さいうちから使用する子どもが増えており、その影響が懸念されています。長時間の使用は避けるように、家族でルールを決めましょう。

暗い場所での作業は避ける

 暗い場所での読書や書き物もよくありません。十分な明るさを保つようにしましょう。また、よい姿勢を心がけることで、対象物と目の適切な距離を保つことも大切です。

家族でチャレンジ! 目の疲れをとる体操

 近くや特定の部分ばかりを見ていると、目の筋肉が硬くなって収縮しにくくなり、ピントが合わせづらくなっていきます。これを「仮性近視」といいますが、この症状は目の筋肉を動かしてほぐすことで、回復することがわかっています。
 ここでは家族で遊びながら、目の筋肉の緊張をほぐすことのできる体操を紹介します。

上下左右ストレッチ

 首を動かさないように注意しながら、目を上下左右に動かしてストレッチします。上手にできない場合には、ママやパパが子どもの好きなものを持って上下左右に動かして、それを見ることで目を動かすように促してみましょう。

グーパーストレッチ

 目をギュッとつむって2秒(グー)、パッと見開いて2秒(パー)を繰り返します。「グーパーグーパー」と言いながら繰り返しましょう。

絵柄のカードを追ってみよう

 好きなマークや絵の描かれたカードを10枚程度用意して、机の上にランダムに並べます。首を動かさないように注意しながら、指示された絵柄のカードを目だけで追っていきましょう。数字が読める場合には、数字の小さい順に1から10まで順番に目で追っていってもよいですよ。

目だけであみだくじ

 紙に縦線と横線を引いて、あみだくじをつくります。縦線をなぞっていき、横線にぶつかったら、その方向に進みます。慣れてきたら、指でなぞらずに、目だけで線を追って進んでみましょう。右の絵を参考にして、つくってみてくださいね。

☆月刊誌『灯台』2021年11月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載