この春に入園をひかえる子どもたち。楽しみな一方で、不安や緊張を抱える子も少なくありません。入園前後の不安定な子どもの心への向き合い方について考えていきましょう。
不安と期待の入り交じる、子どもの心を受けとめましょう!
この春から、幼稚園や保育園に通う子どもたちが、ワクワクする気持ちを抱いている一方で、〝わが子は園生活をきちんと送れるだろうか〟と、不安を感じるママやパパも多いようです。でも、忘れてはならないのが、不安やプレッシャーを誰よりも感じているのは、子ども自身であるということ。特に、これまで親とほとんど離れたことがない子ほど、ママやパパのもとを離れての初めての集団生活に不安を感じるものです。
入園前にできたほうがよいことはたくさんありますが、〝○○をできるようにさせなきゃ〟という焦りから、「ちゃんとできないと園には行けないよ」などと言ってしまうのは逆効果です。無理はせず、〝園生活に慣れながら少しずつできるようになっていけば十分〟という気持ちで見守りましょう。
幼稚園や保育園は、子どもにとっては未知の世界。入園前後は、緊張や不安でイライラしたり、甘えん坊になったりすることもあるでしょう。ママやパパもいつもよりも大らかな気持ちで、子どもの心を受けとめてあげてください。
入園前の心配ごと「○○ができなくても大丈夫?」
「入園前に○○ができなければ」とプレッシャーをかけると、園生活に不安を感じてしまう子もいます。あれもこれもと欲ばらずに、少しずつできることを増やしていきましょう。もし、「入園までに○○ができるように」と園側から説明がある時には、子どもの発達や状態を伝えて、個別に相談してみましょう。
▶こんなこと、できるかな?
子どもの発達には、月齢による差や個人差があります。今すぐにできなくても大丈夫。本人の〝自分でやりたい〟という心を大切にしながら、できる範囲で子どもにやらせて、経験を積ませていきましょう。
<自分でトイレができる>
園の方針によって、「おむつは必ず外してください」と言われることもありますが、トイレトレーニングは、本人の意欲がないとうまくいきません。心配な場合には、前もって園に相談しておくと安心ですね。入園後に、お友だちと一緒にトイレに行くうちに刺激を受け、あっさりとおむつがとれてしまうこともあります。焦らずに取り組んでいきましょう。
<洋服の着替えや靴下、靴の脱ぎ履きができる>
普段から、自分で脱ぎ着をさせるようにしましょう。Tシャツやトレーナー、ゴムのズボンなどの脱ぎ着のしやすい洋服を選んでください。靴は、面ファスナー付きのものがおすすめです。
<カバンやお弁当袋などを自分で開け閉めできる>
カバンやお弁当袋など、園に持っていくグッズの使い方に慣れておきましょう。できた時にはたくさんほめて、「幼稚園に行くのが、楽しみだね!」などと声がけをしてあげると、自信につながります。
<1人でお弁当を食べられる>
1人でお弁当を食べる練習をしてみましょう。1人で食べるのが難しい様子なら、小さいおにぎりやひと口サイズに切ったウインナーなど、食べやすくなるような工夫をしてあげるとよいでしょう。
<名前が言える/名前を呼ばれた時に、元気よく返事ができる>
自分の「名字」を言えない子は多いもの。入園までに、名前をフルネームで言えるようにしておきましょう。また、名前を呼ばれた時には、元気よく返事ができるように、練習しておくとよいですね。
楽しみなイメージを広げよう!
幼稚園や保育園に、楽しいイメージが持てると、気持ちも前向きになります。園生活を扱った絵本などを読みながら、「どんな楽しいことがあるんだろうね?」と楽しいイメージがふくらむような言葉がけをしてあげてください。散歩や買い物のついでに園庭を見てみるなど、場所に慣れておくのも不安が和らぐものです。
どう対処する?入園直後の子どもの不安定なメンタル
入園直後は、子どものメンタルが不安定になりがち。この時に、親も一緒に不安になってしまうと、余計に子どもを不安にさせる悪循環になることがあります。安心して毎日を過ごせるよう、大らかな気持ちで子どもの心を受けとめてあげましょう。
<おうち時間を充実させよう!>
初めての園生活の緊張や不安、ストレスに立ち向かっている子どもたち。帰宅後には、イライラしたり、わがままを言ったりする様子が見られることがあるかもしれません。それは、子どもからの甘えたいというメッセージ。そんな時こそ、ママやパパからの「大好きだよ」という気持ちがちゃんと伝わるようなふれあいの時間をたくさん持って、子どもの心を満たしてあげましょう。
抱っこやハグ
一緒に絵本を読む
一緒に遊ぶ
<園に任せる気持ちも大事>
「園に行きたくない!」と子どもに言われてしまうと、親はどのように対応したらよいか悩んでしまいますよね。まだ園に慣れていない入園直後の登園しぶりはよくあるもの。園に行けば楽しく遊べても、大好きなママやパパと離れたくないという気持ちが強くて、そうなる子もいます。
そんな時には、園を信頼して任せる気持ちも必要です。かわいそうだからと、園での見送り後もいつまでもその場にとどまっていると、なおさら離れられなくなってしまうことも。子どもには、必ずお迎えに来ることを伝えて安心させ、元気よく送り出してあげましょう。仲良しのお友だちや好きな遊びなどの楽しみが見つけられると、楽しく登園できるようになっていきますよ。
<質問攻めは、子どもの負担に>
初めての園生活でわが子がどのように過ごしているのか、親は気になりますよね。でも、疲れている時に、「今日は楽しかった?」「誰と遊んだの?」などと質問攻めにされるのは、子どもにとって負担です。聞きたい気持ちがあっても、ちょっと我慢。リラックスできる雰囲気を心がけて、子どもが話してくれるのを待ちましょう。どうしても気になることがある場合には、園の先生に聞いてみるとよいですね。また、言葉以外にも、子どもの表情や態度からもさまざまなサインが読み取れます。子どもの様子をよく観察することが大切です。
朝のバタバタを回避!入園前に習慣づけたい「早寝早起き」のコツ
入園前に、必ず習慣づけておきたいのは早寝早起き。子どもの朝ごはんや着替えには時間がかかることが多いので、できるだけ早めに習慣づけられると、余裕を持って、朝の準備をすることができます。
生活リズム改善のポイントは、早起きから始めること。布団に入る時間を早くするより効果的です。初めはちょっと眠そうでも、朝早く起こすことから始め、下記を参考にしながら、生活リズムを整えてみてください。
<朝日を浴びましょう>
朝、子どもを起こす時、カーテンを開けて、朝の光を取り込むようにしましょう。元来、人間の体内時計は約25時間周期ですが、朝日を浴びることでリセットされます。
<朝ごはんを食べましょう>
朝食は、一日を始める大切なスイッチです。しっかりと食べて、脳や身体にエネルギーを補給しましょう。
<昼間の活動を充実させましょう>
昼間は、できるだけ身体を動かすようにしましょう。疲労を感じれば、夜は自然に眠くなります。
<お風呂は早めに。ぬるめのお湯につかりましょう>
体温は夕方以降にだんだんと下がっていき、眠気を感じます。熱いお風呂は、せっかく下がった体温を上げてしまうことに。夜のお風呂は、就寝1時間くらい前までに、38度~40度くらいの少しぬるめのお湯にゆっくりとつかるのがおすすめです。
<寝る前のテレビやスマホを避けましょう>
寝る直前までテレビをつけたままにしていることはないでしょうか。夜に強い光を浴びてしまうと、深い眠りを妨げられます。
入園疲れにご注意を!
幼稚園や保育園に入園すると、初めての集団生活で疲れがたまります。そんな時には、予定を詰め込みすぎず、ゆっくりと過ごすように心がけましょう。週末のお出かけも、初めのうちは無理をしないようにして、体調を整えることを優先しましょう。
☆月刊誌『灯台』2020年3月号「子育てプラザ」より転載