車や電車に乗って家族でお出かけするとき、心配なのが子どもの乗り物酔い。事前にしっかり対策を立てて楽しい思い出をつくりましょう。
乗り物酔いの主な原因は、バランス感覚と自律神経の乱れ
乗り物酔いには個人差がありますが、3歳を過ぎたころから小・中学生くらいまでが最も発症しやすい時期だと言われています。子どもが酔いやすいのは、乗り物酔いと密接な関わりのある内耳の「三半規管」が未発達なためです。
乗り物の揺れによって体が感じる振動などの刺激は、まず体のバランス感覚をつかさどる三半規管でキャッチされ、次に脳から目へと「目も頭の位置と同じように動くように」という指示が出されます。「頭が右を向いたら目も右を向くように」といった具合です。ところが、乗り物に乗ると上下左右など予測できない揺れが不規則に体を襲います。すると、「頭は右を向いたのに目は正面を向いたまま」というように頭の位置と目から入る情報にずれが生じてきます。このずれによって脳や三半規管が混乱し、自律神経の働きが不安定になり、めまいや吐き気といった乗り物酔いの症状が生じます。
走行中に助手席で携帯電話やカーナビの画面を見ていると酔いやすいのは、頭の位置と画面を見ている目から入る情報にずれが生じるためで、反対に遠くの景色を見ていると酔いにくいのは、こうした情報のずれが少ないからです。
でんぐり返しで乗り物酔いが治る!?
乗り物酔いは、三半規管を鍛えることで、ある程度軽減させることができます。でんぐり返しや逆立ち、鉄棒やブランコなどバランス感覚を鍛える運動が効果的。毎日の遊びのなかに意識して取り入れていくとよいでしょう。
【子どもの乗り物酔い対策】
■乗る前に
体調管理や食事のタイミングなどに注意しましょう。また「酔ってしまうのでは……」という不安が酔いの原因になることも。子どもの不安を取り除き、大丈夫だと安心させてあげることも大切です。
・前日は十分に睡眠をとる
・体を締めつける服装は避ける
・空腹・満腹時の乗車は避ける
・揺れの少ない席に座らせる
・進行方向がよく見える席に座らせる
・臭いの強いものは持ち込まない
・酔い止め薬を服用する
■乗ったら
ドライバーが酔いにくいのは、事前に揺れを察知して自然に乗り物の動きに体を合わせることができるからです。外の景色を見て乗り物がどういった動きをするかを意識するのもよいでしょう。
・換気をよくする
・本やゲーム機、携帯電話などの使用は避ける
・遠くの景色を眺める
・楽しく会話をする
・乗り物酔い防止に効く飲食物をとる→チョコレート、飴、ガム、梅干し、生姜(搾り汁をスポーツドリンクに垂らすなど)
・乗り物酔いしやすくなる柑橘類(ジュースも含む)を避ける
・目をつぶる、寝る
■酔ってしまったら
乗り物から降りて外に出るのが一番ですが、すぐに降りるのが難しい場合は、衣服をゆるめて横にさせるなど体を楽な状態にしてあげましょう。吐き気がある場合は我慢させずに吐かせます。
・外の空気を吸う
・窓を開けて風にあたる
・横になる
・頭部を冷やす
・頭部を動かさないようにする
・衣服(特に腹部)をゆるめる
☆月刊誌『灯台』2013年8月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載