イライラしない!怒らない!困った時の子育てのヒント

子どもの困った言動に振り回されて、イライラしたりガミガミと小言を言ってしまう日々。怒りたくないけれど、どうしたらいいかわからない。そんな時にヒントとなる考え方を紹介します。

イライラしたら、少し力を抜いて
子どもの成長に必要なことを考えてみましょう

 個人差はありますが、子どもは1歳半から2歳を過ぎる頃には、自分の意思を持ち始めます。〝自分でやりたい〟という気持ちが芽生えると同時に、親が「これをやろうね」ということには、何でも「やだ!」を突きつける……。そんな様子が見受けられるようになるのもちょうどこの頃です。そんな時、なかなか言うことを聞かない子どもに、感情的に声を荒げてしまうこともあるのではないでしょうか。
 子どもの困った言動は、大人から見ると、理由がはっきりとわからない場合が多々あります。しかし、よくよく観察してみると、〝何かを得たい〟〝何かをやりたい〟という、その子なりのイメージがあることがわかります。また、見方を変えると、その言動は、子どもなりの挑戦や心の葛藤など、子どもの成長になくてはならないものなのかもしれません。子どもは子どもなりの思いを抱えながら、自分の内側から沸き起こるエネルギーを使って、成長しようとしているのです。
 私たち大人が心がけたいのは、そんな子どもの成長の邪魔をせずに、見守る姿勢です。ついつい感情的に怒りたくなった時には、一呼吸置いて、〝子どもの目に映る世界〟に目を向けてください。〝わかってもらえている〟と感じるだけで、不思議と子どもの心も落ち着いてきたりするようです。子育てをラクにしてくれるヒントは、そんなところにあるのかもしれません。

親と子どもは〝別の人格〟思い通りにならないことがあるのは、当然です

 親と子どもは〝別の人格〟。親と子どもが見ている世界や望んでいることは、違って当然です。それなのに、子どもの気持ちよりも親の思いを優先にしがち。うまくいかないと感じるのは、そんな時ではないでしょうか。
 親が心がけたいのは、子どもを〝-個の人格〟として尊重すること。同時に、ママやパパ、友だちやきょうだいなど、自分以外の人のことも大切な人格として、認め合える姿勢を育めるとよいですね。あせらずにゆっくりと、子どもの心を育てていきましょう。
 下のタイプチェックに進んで、ママやパパのタイプ別アドバイスを参考にしてみてください。

うちの子のイヤイヤ、どう対処する?
ママ・パパの関わり方をチェック!

Aグループ
□ 「何時までには寝るべき」「挨拶はきちんとすべき」などの細かいルールにこだわることが多い
□ 何度言っても子どもが言うことを聞かないので、声を荒げてしまうことが多い
□ 「こうすればよいでしょ」「まだ無理よ」など、親の判断で子どもの言動を制限することが多い

Bグループ
□ 子どもが泣いたり怒ったりすると、ついつい子どもの言いなりになってしまう
□ 困った場面では、お菓子を与えたり物を買ったりして、子どもの気をそらすことが多い
□ 子どもが一人っ子で、つい構いがちだ

Cグループ
□ 忙しくて、時間がない
□ スキンシップや一緒に遊ぶ機会が少ない
□ きょうだいの世話などで、一人の子に目を向けられる機会が少ない

当てはまるものが多かったタイプはどれですか?
Aグループ→おせっかいタイプ
Bグループ→シュガータイプ
Cグループ→今日もバタバタタイプ

A~Cのタイプ別アドバイスは次へ!

親のタイプ別アドバイス

Aグループ:一言多い おせっかいタイプ
→子どもは、親に反発心を抱いているかも……。

アドバイス 子どもを親の思い通りにしない

「こうするべき」という親が決めたルールで、子どもを思い通りに動かそうとすると、子どもだって反発したくなるもの。子どもを〝一個の人格〟として、その意思を尊重する場面を増やせるとよいですね。
 ついつい怒りたくなったり、余計な一言を言いたくなったりしたら、まずは一呼吸置きましょう。そして、子どもの見ている世界や感じていることに目を向けるようにしてみてください。「くやしいね」「かなしいね」「○○したかったんだね」などと、子どもの気持ちに寄り添う言葉がけが、子どもの〝聞く耳を持ってみよう〟という気持ちにもつながっていきます。

Bグループ:子どもに甘くなりがちな シュガータイプ
→子どもは、〝親や他人は、自分の思い通りになる〟と思い込んでいるかも……。

アドバイス 全てを子どもの思い通りにはさせない

 何でも言うことを聞いてくれる、ものわかりのよいママやパパ。この傾向が強すぎる場合、子どもは親を「自分の思い通りにできる人」と認識しているかも……。生きる上で、他人と折り合いをつけていくことは、とても大切な能力です。してほしくないことは、穏やかな口調できっぱりと伝え、動じない姿勢を見せましょう。

Cグループ:さびしさをキャッチできている? 今日もバタバタタイプ
→子どもは、満たされない気持ちを抱えているのかも……。

アドバイス 関係性を育むことに力を注ぐ

 親が忙しく、子どもと接する時間が足りないと、子どもは心の奥にさびしさを感じます。たとえ短い時間でも、スキンシップをしたり、子どもの話を聞くことは、子どもの心の安定に必要なこと。日頃からこのような時間を持つことで、子どもが親の伝えたいことに耳を傾けてくれるようになります。

ママのストレスケアも大切

子育て中は、自分のことは後回しになりがちなママ。ママの心が我慢でいっぱいになっていたら、大らかな気持ちで子どもに接することは難しいかもしれません。そんな時には、「仕事やボランティアをする」「人と会っておしゃべりをする」「趣味の時間を持つ」など、自分の心を満たす工夫を。夫や祖父母に頼れない場合は、自治体の一時保育などを上手に使って、適度に息抜きをしながら、子育てを楽しんでいきましょう。

まだまだある! どうしたらよいの? こんな場面

●大人の提案にイヤイヤばかり言う
 強引に言うことを聞かせようとすると、親も子もお互いに意地になって、うまくいかない場合が多いもの。〝このままではいけないな〟と感じた時には、親は一度引いて見守る姿勢を心がけてみましょう。冷静さを取り戻して考えると、じつは子どもの意思に任せておいてもよいと思える場面であることが多いもの。子どもも気持ちを落ち着かせるきっかけを得られます。
 また、選択肢を2つ提案して選んでもらうと、「自分で決めた!」という満足感を得られて、スムーズな行動につながることがあります。

●やりたいのにできない! 悔しさから、かんしゃくを起こす
 「できなくて悔しいね」などと、まずは子どもの気持ちを受け入れてあげましょう。「どうしたらできそうかな?」とやり方を一緒に考えて、必要な手助けをしたり、子どもの発達に合わせた適切な環境を整えてあげたりすることも大切です。

●危険なこと、人の迷惑になることをする
 「病院には、具合の悪い人が来ているから、静かにしようね」「人にぶつかると危ないから、廊下は歩こうね」などと、子どもにもイメージが伝わりやすい言葉を選び、命令ではなくお願いの形にしてみます。「ニンジャ歩きで静かに歩こう!」などと、楽しく遊びながら実践できる方法を考えてもよいですね。

●なかなか帰りたがらない
 遊びに行く前に、「スーパーに寄りたいから、今日は○時まで公園で遊ぼうね」などと、帰るタイミングと次の予定をあらかじめ子どもに伝えておきます。約束の時間が近づいたら子どもに知らせ、「すべり台をあと何回すべったら」などと、子ども自身が自分で区切りをつけられるような言葉をかけましょう。また、「家に帰ったらおやつを食べる」など、先の楽しみが見えるとスムーズに気持ちを切り替えられることがあります。

●わざと人の嫌がることをする
 わざと悪いことをする子どもの背景には、「構ってほしい」「相手をしてほしい」という気持ちがある場合も。親が他のことに気を取られて、自分が後回しになる頻度が多いと、子どもは叱られてでも親の気を引こうとし始めます。そんな時には、ぜひ、遊びやスキンシップなど、その子一人を見つめながら子どもの心を満たす時間を持ち、大好きだよというメッセージを伝えていきましょう。

☆月刊誌『灯台』2019年1月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載