食事のマナーは生活の基本。小さい時から、よい習慣を身につけさせることを心がけたいものです。そこで今回は、子どもと一緒に実践する食事のマナーについて紹介します。
マナーを守った楽しい食事と、相手を思いやることのお手本を見せましょう
幼児期は、食事を含めた生活習慣の基本姿勢を育むための、とても大切な時期です。大きくなった時に恥ずかしい思いをしないように、今のうちに、食事のマナーを身につけさせたいと考える方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、子どもと一緒に実践する食事のマナーについて考えていきたいと思います。とは言っても、あまり難しく考えることはありません。食べ物を大切にしたり、人に不快感を与えないという気持ちを持ったりすることがマナーの基本です。
子どもがマナーを習得するうえで大切なのは、大人の見せるお手本です。子どもは、大人のしていることを見てまねて、当たり前のこととして自然に身につけていきます。箸使いなど、技能が必要なことを本格的に練習するのは、小学生以降でも十分。身体の発達が十分でない幼児期には、「ちゃんと」「しっかり」ばかりを要求するよりも、適切な環境を整えて、大人がよいお手本を示すことのほうが重要です。
家族で囲む食卓は、人との交流やコミュニケーションの基本を学ぶための最適な場です。マナーを守って、みんなでおいしく食べる楽しさを実感できるとよいですね。
食事の準備を手伝いましょう
食への興味を引き出すために、小さい時から、お手伝いをさせましょう。その子の興味に合った役割を、少しずつ与えてあげるとよいでしょう。
包丁を使わなくてもできる! 調理のお手伝い
「危ないから」「かえって手間がかかるから」と、子どもをキッチンから遠ざけていませんか。お手伝いは、大きくなったからといって急にできることではありません。興味を持った時に、できることからやらせてみましょう。
【むく・とる・ちぎる】
卵の殻をむく・ミニトマトのヘタをとる・豆のさやをとる・レタスやキャベツをちぎるなど
【野菜を洗う】
【味つけ・味見】
【食卓を拭く】
【食事ができたことを人に伝える】
お箸や食器は、置く場所が決まっています
和食では、各食器を一番食べやすいところに並べます。配膳の手伝いをさせながら、どこに何を置くのかを教えてあげましょう。
マナーを守って、おいしくいただきましょう!
「いただきます!」「ごちそうさま!」の挨拶には、食べ物や食事に関わってくれた人への感謝の気持ちが表現されています。なるべく、家族揃って挨拶をしてから、食べ始める習慣を身につけたいですね。
●お茶碗・食器を正しく持って食べましょう
和食では、お茶碗やお椀、副菜・副副菜の小さな器は手で持って食べます。正しい持ち方をしないと、危ないですね。
・正しい持ち方
4本の指を揃えて、その上に器の糸底をのせ、親指でお茶椀のふちを軽く押さえて支えます。
※手とお茶碗の大きさが合っていなかったり、お茶碗が重すぎたりしても、きちんと持つことができません。子どもの手のひらに合ったサイズのお茶碗を選びましょう
●子どもに教えたいお箸のマナー
お箸には、してはいけないマナーがあります。乳幼児期には、最低限、次のような内容を教えてあげましょう。
【寄せ箸】
お箸で器を動かすと、食卓や食器を傷つけたり音がしたりします。
【たたき箸】
お箸で食器をたたくのはやめましょう。
【かみ箸】
お箸を歯で噛むと、箸先がつぶれてしまいます。
【持ち箸】
お箸を持ったまま同じ手で器を持つと、落としそうで危ないですね。
●いすに正しく座っていますか?
姿勢が悪いと、胃が圧迫されて、食べ物の消化が悪くなります。環境を整えて、正しい座り方を身につけましょう。食事の途中に立ってしまうようなら、「もう終わりにしようね」と区切りをつけます。小さい時から、「食べる時は座る」ことを伝え、習慣づけることが大切です。
●大人がお手本! こんな習慣を身につけたい
▼お口を閉じてもぐもぐ
口を開けて食べると、クチャクチャという音がします。周りの人をいやな気持ちにさせてしまうことを伝えましょう。
▼食事の前には、手を洗い、トイレを済ませておく
食事中にトイレに行くのは、マナー違反。トイレを済ませ、手を洗ってから、食卓につきましょう。どうしてもという場合には、周りの人に一言断ってから席を立ちます。
▼食事は、家族揃って楽しく
一人で食べる食事は、なんだか味気ないもの。また、テレビを見ながらの「ながら食べ」をしていると、大きくなってからもずっと続いてしまいます。食事中は、テレビを消す習慣を身につけられるとよいですね。
スプーンからお箸へ、段階的に食べ方を練習
早い時期からお箸を持たせたいと考えるママやパパもいるかもしれませんが、子どもの手指の機能が十分に発達していない段階で与えると、間違った持ち方のクセがついてしまう場合があります。お箸にスムーズに移行するためには、赤ちゃんの時の手づかみ食べから、スプーンの「上握り」「下握り」「鉛筆持ち」と、段階を経ていく必要があります。また、お箸を使用し始めるのは、一般的には3歳を過ぎてからと言われます。お箸の使い始めは「すくう」ことがほとんどで、やがて「はさむ」ことを学びます。お箸だけで食べることに無理がある時期は、スプーンやフォークも併用して、徐々にお箸にならしていきましょう。
食べたがらない子どもには、どう接したらよいでしょうか?
食事の途中で遊び始めたなら、「ママが代わりに食べるよ。おいしいな」などと、子どもがもっと食べたくなるような言葉をかけてみましょう。それでも遊び続けたら、お腹がいっぱいなのかもしれません。〝1食くらい食べなくても大丈夫〟という気持ちで見守りましょう。ただし、頻繁にその状態が続くようなら、「お菓子を食べすぎていないか」「間食のタイミングは適切か」など、お腹の空かない要因を見直します。また、子どもが遊びに夢中で、食事に気持ちが向かない時には、「きりのよいところまで遊んだら、食事に来ること」を約束し、子ども自身にタイミングを決めさせるなどの工夫をしてもよいでしょう。
☆月刊誌『灯台』2019年3月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載