園の先生との上手なコミュニケーションのコツ

保育園や幼稚園は、子どもたちにとって、初めての集団生活。親としては様子が見えにくい分、不安になることもありますよね。今回は、大切なわが子を預ける園の先生と信頼関係を築くための方法を考えてみましょう。

上手なコミュニケーションで、園の先生を育児の心強い味方に!

 子どもが初めて、親と離れて生活をする保育園や幼稚園。共働き家庭が増えてきている今、家で過ごす時間よりも園で過ごす時間のほうが長い子もいるのではないでしょうか?
 保育園や幼稚園で子どもが順調に過ごせているかどうかは、親にとって心配の種です。親の目が届かないところで、わが子がどのように過ごしているのか、先生に聞いてみたいことも多いはず。でも、ときには、〝相性がよくない〟と感じてしまう先生に当たることもあるでしょう。また、〝こんなことを言ったら、モンスターペアレントと思われてしまうのではないか〟と心配して、伝えたいこともうまく伝えられていないかもしれません。
 親が園生活に不安を抱いていると、その不安は必ず子どもに伝わり、子どもは親以上に不安になってしまいます。忙しい先生とゆっくりと話す機会はなかなかとれないかもしれませんが、大切なわが子を預ける保護者としては、上手にコミュニケーションをとりたいところです。
 先生は、子どもの心理や特性について、専門的に学んだ子育てのプロでもあります。上手にコミュニケーションをとれれば、育児の心強い味方になってくれるはず。今回は、園の先生とのコミュニケーションのとり方のコツを考えてみましょう。 

普段のちょっとした行動がカギ!先生との信頼関係を育むには?

子どもにとって、親の言動の影響力は絶大です。大好きな親が先生を信頼していることがわかれば、子どもも自然と先生を信頼するようになるでしょう。
 また、普段から、先生とよい関係が築けていれば、いざというときに、疑問や不安を伝えたり、報告や相談をしたりしやすくなります。先生と信頼関係を築くためには、どのようなことを心がけたらよいのでしょうか?

▼気持ちのよい挨拶は人間関係の基本

 人間関係を築くうえで、欠かすことができないのが挨拶。朝から、「おはようございます」と元気な挨拶をしてもらったら、一日を頑張る活力をもらえますよね。また、笑顔の挨拶は、相手によい印象を与え、それによって相手との距離感を縮め、その人との関係性をよくしてくれます。
 先生にとっても、挨拶は嬉しいもの。自分から笑顔で、そして大きな声で挨拶の言葉を発してみてください。 

▼積極的にコミュニケーションをとろう

 お迎えのときなどにタイミングが合えば、「今日はどんな様子でしたか?」とひと言、先生に声をかけるようにしましょう。先生とコミュニケーションをとるきっかけになりますし、こちらが、園での子どもの様子を気にかけていることも伝わります。親が話したがっていることがわかれば、先生のほうからも、話しかけてくれるようになるかもしれませんね。
 また、子どもに寄り添って、日々の成長を見守ってくれている先生の頑張りに、理解と感謝を示しましょう。人は、自分を信頼してくれる人に応えようとします。感謝の気持ちを何気なく伝えられたら、誰でも「もっと頑張ろう!」という力が湧いてくるはずです。時間がなくて、先生と直接話せないときなどには、連絡帳を活用してみてもいいでしょう。

▼疑問や不安はその都度相談を

 不信感を抱えたまま、子どもを預けるのはとてもつらいもの。普段の生活のちょっとした疑問や不安は、その都度、先生に相談してみるようにしましょう。「あのママは、こんなことに不安を感じていたんだ」ということが伝われば、先生のほうでも、可能な限り気にかけてくれるはずです。また、疑問に思えた対応が、園としての方針によることもあります。積極的に関わっていくことで、互いの考えを理解して、園と保護者の距離を縮めるきっかけにもなることでしょう。

先生への要望を上手に伝えよう

 うるさい親だと思われたくないために、園や先生に言いたいことがあっても、我慢している人もいるかもしれません。でも、疑問に思ったことを質問したり、改善してほしいと思う点を園や先生に伝えたりすることは、必ずしも悪いこととは言えません。互いの立場の違いを理解し、相手を尊重しながら話すことを心がければ大丈夫。次のようなポイントも参考にしてください。

▼感情的になっているときには行動しない

 トラブルが起きたときなど、感情的になっているときには、ひとまず頭を冷やしましょう。頭に血が上っているときに感情に任せて行動すると、かえって状況を悪化させてしまって、スムーズな解決ができなくなってしまうことがあるからです。
 先生だって、感情を持った人間。攻撃的な親に対してはどのように接してよいか悩んでしまうこともあるでしょう。親と先生の関係が壊れてしまったら、かわいそうなのは、他でもない子どもです。気持ちが落ちついて、客観的な判断ができるようになるまでは、情報を集めながら様子を見るようにしてみましょう。 

▼事実だけを伝える

 子どもからの情報、他の保護者から聞いた情報は、主観的なことが多いもの。トラブルなどの報告や相談では、なるべく事実のみを客観的に伝えるようにします。子どもの発言は、「子どもがこう言っていた」とそのまま伝えます。同時に、「友だちとけんかをしたようですが、どんな様子でしたか?」などと、先生目線からの状況も確認して、改善策や今後への生かし方などを話し合ってみましょう。
 一度話し合ったら、しばらくは先生に任せて見守ることも大切です。頃合いを見て、「その後、様子はどうですか?」などと確認してみるとよいですね。

▼批判でなく、要望を伝える

 怒りを感じる出来事があった場合、「心配」「ショック」「残念」といった表現にして伝えると角を立てずに、気持ちを伝えられます。「うちの子は、〇〇なところがあるので、家庭ではこう指導しています。園では、どのようにしていますか?」などと先生の考えを聞いてみてもよいですね。そのうえで、必要なら「このように対応していただけると嬉しいです」と要望を伝えれば、建設的な話し合いができますね。

▼協力姿勢を見せる

 園と家庭が〝車の両輪〟となることで、子どもはまっすぐに育ちます。園と家庭で子どもの情報を交換して、子育ての喜びや悩みを共有しながら子どもを見守る、〝子育てのパートナー〟になれるのが理想です。普段のコミュニケーションや行事など、園や先生との関係を育む機会はたくさんあるはず。そのような機会を通じて、親である私たちに、何ができるのかを考えてみるとよいですね。

先生とのコミュニケーションツール・連絡帳の話題のヒント!

連絡帳は、園の先生とのコミュニケーションツールの一つ。何を書いてよいか困るときは、次のようなことを書いてみましょう。

●ちょっとした悩みの相談

「普段はお友だちの話をたくさんするのに、今日は全くしなかった」「夕飯をあまり食べなかった」など、忙しい先生をひきとめて相談するほどのことでもないけれど、ちょっとした悩みがあるときには、連絡帳に書いてみましょう。先生なら、何かヒントを持っているかも!? また、園でも様子を気にかけてくれるかもしれません。

●子どもの家庭でのエピソード

「こんな遊びをした」「こんなキャラクターが好き」などの家庭での子どもの様子を伝えると、先生にとっても有益な情報に。特に、子どもが大人しくて、園でなかなか自分を出せないタイプの場合には、距離を縮めるきっかけになります。

●子どもが話した園での様子を伝える

子どもが「今日○○して、楽しかった」と園での様子を喜んで話してくれたときなどは、連絡帳を通して先生へ伝えましょう。きっと先生も喜んでくれるはずです。

子どもの前での愚痴にご注意!

  園の先生のわが子への対応や園で起きた出来事への対応に不満があったとしても、その不満を子どもの耳に入れないことはとても大切です。たとえ親が先生に不満を持っていたとしても、子どもは気にしていないかもしれません。それなのに、親が子どもの前で、先生への不満を言ってしまうと、それは、「先生を信頼してはいけない」というメッセージとして子どもに伝わってしまうことがあります。
「どうせ子どもにはわからないだろう」と大人同士が話している内容でも、子どもはその雰囲気を敏感に感じ取っています。不満に感じることがあったとしても、子どもの前では態度に出さず、様子を見守るようにしましょう。


☆月刊誌『灯台』2018年11月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載