幼児期のお手伝いの目的は、〝自分でやる力〟を育むこと。周囲の大人がひと手間かけて、子どもの挑戦を見守ることで、子どもは自信を持てるようになります。子どもにお手伝いをさせるときのポイントを一緒に考えてみましょう。
幼児期のお手伝いは、子どもの自発性を大切に
子どもが小さいうちのお手伝いは、かえって手間がかかるもの。相手をするのが面倒くさいと感じてしまうこともあるかもしれません。でも、そこは我慢のしどころ。子どもの自発性が芽生える時期にお手伝いから遠ざけてしまうと、のちのち子どもの手を借りたいときに、お手伝いを面倒くさがるようになってしまいます。
お手伝いを任せるときのポイントは、子どもの興味や発達に合わせて、本人がやりたいと言ったときにやりたいことをさせてあげること。まだ小さいから無理だろうと決めつけずに、興味を持ったことを子どものできる方法で少しずつ任せてみましょう。逆に、「やってみる?」と誘ってみて、答えがNOの場合はそれを尊重してください。やりたいという気持ちが高まっているタイミングに声をかけることが大切です。
「やりたい」と思ったことに挑戦し、「自分でできた」「誰かの役に立った」という喜びを十分に味わうことは、「もっとやってみよう」という次の意欲につながります。幼児期のお手伝いの一番の目的は、この自発性を育てること。ひと手間かけて、子どもの「やりたい!」という気持ちに応えてあげることの積み重ねが、子どもの自信と成長につながります。
「自分のことは自分で」は、お手伝いの第一歩
2歳ごろになると、何でも「自分で!」という主張する時期がありますが、それもお手伝いの第一歩。身の回りにある自分のことを、自分でできるように見守り応援してあげることで、「できた!」のうれしさを十分に味わわせてあげましょう。
◆2歳ごろからおすすめのお手伝い
○タンスから着替えを出す
○寝る前に、ベッドで読む絵本や歯ブラシを持ってくる
○ごはんの後の食器を運ぶ
○使ったおもちゃをおもちゃ箱に戻す
子どもにお手伝いを任せるときのポイント
◆子どもの興味や発達に合ったものを
「何歳になったから、決まった役割を与えよう」などと気構える必要はありません。まずは、普段の生活の中で、大人が家事をしている様子を見せることがポイントです。子どもは真似が大好きなので、大人がやることを見て自然と興味を持つようになります。
大切なのは、子どもの様子をよく観察して、「やりたい!」という気持ちを見逃さずに、やらせてあげられる環境を整えること。逆に、やりたくないときにやらされたことには、嫌な印象しか残らないので、無理強いは禁物です。
◆「できた!」の喜びに共感してあげる
何かを頼んだら、頼みっぱなしはNG。子どもがやりとげるまで見守って、「できたよ!」の喜びにじっくりと共感してください。また、終わった後には、必ず「ありがとう」の言葉をかけて、誰かの役に立ったという喜びを十分に味わわせてあげましょう。
◆自分でできるような適切な環境を
やりたい気持ちがあるのに子どもがとまどっているときには、様子をよく観察して、どうしたらできるようになるのかを考えてみましょう。環境を見直して、子どもが自分でできるように工夫してあげることが大切です。
○子どもにとって使いやすい道具を用意する
拭きそうじ用ミトン
古いタオルを縫い合わせる。
盛り付け用トング
サラダなどの盛り付けに、子どもの手のサイズに合ったものを用意。
○子どもにとって、やりやすい方法を考える
手の届く高さに置く
届かない場所には踏み台を設置する。
目印をつける
ものの定位置をわかりやすく表示。
◆失敗しても叱らない
はじめての経験に、失敗はつきもの。失敗を恐れずに挑戦する気持ちや、失敗したら次はどうしたらよいのかを考える姿勢を大切にしましょう。たとえば、水を注ぐときに、不注意で水をこぼしてしまったら、「こんなときには、どうしたらいいと思う?」「うまく注ぐためにはどうしたらいいのかな?」などと前向きな解決方法を考えさせます。あらかじめ、子どもの手の届くところに雑巾を置いておくなどの工夫をしておいてもよいでしょう。
☆月刊誌『灯台』2017年2月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載