秋の味覚が食欲をそそるこの時期は親子間でも自然と食べ物の話題が増えてくるのではないでしょうか。ぜひ、遊びのなかにも「食育」を取り入れてみましょう。
楽しみながら「食」と向き合い、味わう経験を
食育とは、食材や調理に関することから、マナーや伝統に至るまで、「食」にまつわるあらゆる教育のことをいいます。しかし、幼児期では何よりもまず、「食」自体に関心をもち、食べることを楽しいと思えるということが大切です。食は生活習慣や心身の成長の根幹となるものなので、食育は幼児期こそ力を入れたい教育だといえます。
あらたまって「食育」と言われると、とても難しいことのように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。日常生活のなかで、子どもと食べ物の話をしたり、食材の買い物の際に野菜や肉、魚などを子どもと一緒に見たり、食事作りのお手伝いをさせたりすることも立派な食育です。
秋も深まり、おいしそうな野菜や果物が店頭にあふれ、食欲も一段と増すこの時期は食育に最適の時期といえます。
そこで今回は、食育を取り入れた遊びを提案します。楽しみながら食と向き合う経験を、たくさんさせてあげましょう。
食育にはこんな方法も!
子どもが楽しみながら「食」に関心をもてるように、以下のようなことにチャレンジしてみてもよいでしょう。
●とる
・果物狩り
・野菜の収穫(芋掘り体験など)
●つくる
・家で野菜を栽培する
・(その食材が何からできているかを知るために)上新粉からお団子、小麦粉からパンなど、工程のはじめから作ってみる
●食べる
・だし汁(かつおだし、昆布だし、しいたけだしなど)の飲み比べ
・「いろんな色のものを食べようね」と言いながら、色を意識して食べてみる
食は五感すべてを使う貴重な行為
食材を手で触れ、目で見て、鼻でかぎ、耳で調理の音や歯でかむ音を聴き、舌で味わう。食は五感をフル活用できる貴重な行為です。ぜひ、さまざまな感覚を刺激するような食体験をさせてあげましょう。
食育遊び アイデアいろいろ
◆いつ食べられるかな?
食材の最もおいしい時期・旬について考える遊びです。最近は1年を通して市場に出回っている食材が増えていますが、子どもに旬がわかりやすいものを選びましょう。
〔遊び方〕
10㎝四方に切った画用紙を十数枚用意します。そこに四季それぞれにとれるいろいろな食材の絵を描き、「秋に食べられる物はどれかな?」と聞いて子どもに当てさせます。冬、春、夏も同様に。
食材の例
秋…サンマ、さつまいも、ぶどう 冬…大根、ほうれん草、みかん 春…たけのこ、アスパラガス、いちご 夏…ウナギ、トマト、かぼちゃ
◆おいもでお団子作り
秋の味覚・さつまいもを使った簡単な料理に挑戦!
〔作り方〕
① さつまいもは、柔らかくなるまで蒸して、皮をむいてつぶす。
② ①の粗熱がとれたら、一口大のお団子に丸める。
丸めるのは子どもにやらせましょう!
きなこや黒ごまをまぶしてもおいしくなります。
◆種当てゲーム
普段捨てている種は、果物にとっては大切な命の源。そんな種に注目! 「果物は最初はみんなこの小さな種なんだよ」と教えることで、子どもたちの見方も変わるかもしれません。
〔遊び方〕
柿、ぶどう(種あり)、梨、栗など、秋の果物を食べる機会に種を取っておきます。いろいろな種類が集まったら、子どもに見せて、「どれがどの果物の種かな」と当てさせましょう。
※栗は普段食べているところが種です。
☆月刊誌『灯台』2016年10月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載