大人にとってはごく当たり前な〝挨拶〟も、子どもにとっては難しいもの。挨拶の習慣を無理なく身につけられるよう、子どもの目線に立って、考えてみましょう。
無理強いせず、大切さを教えることから
ご近所の方や幼稚園・保育園の先生、お友だちに対して、子どもがなかなか挨拶できない……。そんなとき、ママやパパとしては恥ずかしくなったり、焦ったりしてしまいがちですよね。
挨拶は、コミュニケーションの基本なのでしっかりできたほうがよいのは確かです。しかし、幼い子どもは、そのときの気分や機嫌に左右されたり、人見知りをしたりすることも多く、なかなか挨拶ができないというのも珍しくありません。非常に内向的な性格の子どもでも、成長して変わる場合もあるので、挨拶ができなくても叱ったり、焦ったりするのはやめましょう。
挨拶とは、相手を認め、共に生きていこうという気持ちの表明です。だからこそ相手からも返ってくるとうれしく感じ、交わすことで良好な関係を築いていけるのです。子どもにも、ただ「挨拶しなさい」と言うのではなく、なぜ挨拶が大切なのかということから教えていきましょう。
挨拶の大切さを子どもに伝えよう
挨拶がなぜ大切なのかを、子どもにとって身近なシチュエーションを例に出して説明してあげましょう。
◎挨拶の意味とは…
朝に「おはよう」って言うのはね、その相手に対して「○○ちゃんのことが好きだから、今日も一緒に遊んでね」っていう意味なんだよ。だから、ちゃんと言ったほうがお友だちとたくさん仲良くできるんだよ。
◎挨拶しないと…
挨拶しないで黙っていると「怒っているのかな」と思われて、お話ししたり遊んだりしてもらえなくなっちゃうよ。
◎挨拶されると…
○○くんも、朝、お友だちに「おはよう」って言われたり、お別れのときに「バイバイ」って言われたりしたらうれしいよね。もし言われなかったらどんな気持ちかな?
挨拶を身につけさせるための習慣
挨拶を自然にできるようにするために、以下の点に注意してみましょう。
◆家では必ず挨拶を
家で挨拶の習慣がなければ外でできるはずがありません。「おはよう」「いただきます」「おやすみなさい」など、あらゆる場面で挨拶の言葉をかけ、夫婦間でも交わしましょう。
◆外では親が見本を見せる
子どもは親がしていることを自然とまねるもの。外でご近所の方や幼稚園・保育園の先生、お友だちのママなどに会ったときは、親が積極的に挨拶し、その姿を見せましょう。
◆挨拶をテーマにした絵本を利用
動物たちが、代わる代わる挨拶したり挨拶の練習を頑張ったりと、挨拶をテーマにした絵本は多くあります。こうした絵本を読み聞かせ、挨拶しやすい環境をつくるのも効果的です。
なかなか挨拶できないときは
挨拶習慣を身につけさせようとしても、どうしてもできないという場合は、以下のような方法から試してみてもよいでしょう。
◆ママもしゃがんで一緒に挨拶を
ママもしゃがんで子どもの目線になり、一緒に「こんにちは」「さようなら」などと言ってあげましょう。ママの存在が近くにあることで声を出しやすくなります。
◆会釈を教える
恥ずかしくてなかなか声が出せないという子の場合、まずは、頭をペコッと下げるだけの「会釈」を教えましょう。会釈ができたらいっぱいほめてあげましょう。
◆いっぱいほめて自信をつけてあげる
どんなことでもよいので、ほめられるところをたくさん見つけ、日ごろからいっぱいほめてあげましょう。自信がついてくることで挨拶ができるようになるという子もいます。
☆月刊誌『灯台』2016年10月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載