地域に根ざした現場発のネットワーク力を

公明党参議院議員
矢倉克夫さん

私立学校のいじめ問題に取り組む

 私は参議院議員に初当選した直後(2013年)に、埼玉県在住の一人の女性と懇談する機会を持たせていただきました。その方の息子さん(A君)は当時、東京都の私立中学校に通う3年生でしたが、学校でいじめにあい、2年間ほど不登校になっていたのです。
 実は、お母さんは教育委員会にいじめの相談をしていました。ところが教育委員会からは、〝所管は公立学校なので、私立学校のいじめ問題には対応できない〟との返答がありました。また、中学校の監督機関である自治体の教育課にも相談しましたが、〝教育課にはいじめの専門家がいない〟との見解が示されていたのです。お母さんは私との懇談の場で、「誰も助けてくれないんです!」と涙ながらに語っておられました。
 私はA君やお母さんの苦しみが痛いほど感じられました。と言うのも、私自身も小学生の頃にクラスメイトからいじめられた経験があったからです。私はお母さんの訴えを受けて、〝私立学校でいじめ問題が発生した時に、今の態勢では被害者とそのご家族が孤立してしまう。この状況を変えなければいけない!〟と強く決意しました。
 同年11月、参議院文教科学委員会で人生初の国会質問のチャンスが訪れました。私はその場で文部科学大臣に直接、〝教育の目的は子どもの幸福。それを脅かすいじめという課題に対しては公立学校も私立学校も関係ない〟と訴え、いじめ問題の相談窓口の拡充を迫ったのです。すると大臣は私の訴えに大いに賛同され、「いじめは決して許されない。加害者にも被害者にも傍観者にもさせない」「これをあらゆる子どもに対していかに徹底させるか、しっかり取り組むことは公私を問わず当然のこと」との答弁をしてくださいました。
 その後、文部科学省によって、いじめの悩みやさまざまな困りごとを無料で相談できる「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)が設置されるようになったのです。また、「いじめ防止対策推進法」においても、学校現場で教職員が、いじめ対策についての理解を深めるための啓発活動が義務づけられるようになるなど、いじめ防止のための新たな制度が構築されていきました。
 なおA君はその後、いじめを乗り越えて高校に進学。現在は大学の教育学部に在籍し、いじめで苦しんでいる子どもたちを励ますために、教育関係の仕事に就こうと勉学に励んでいます。
 一人の真剣な訴えが政治を変えていく―この経験は、私の政治家としての原点になっています。

〝大衆運動〟の広がりに貢献していく

 現在、東京都足立区の区立辰沼小学校による、いじめ防止の取り組みに注目が集まっています。同校では「辰沼キッズレスキュー(T・K・R)」という〝子どもの子どもによる、子どものためのいじめ撲滅隊〟が結成され、子どもたちが互いに助け合い、協力し合いながら、いじめをなくすための活動が行われています。この活動によって、これまでは〝いじめはいけない〟と思っていても、そのことを口に出せなかった児童たちが、いじめに対して反対の声をあげたり、行動を起こしたりしやすい環境がつくられているのです。
 いじめ問題は、一部のいじめた子・いじめられた子だけの問題ではありません。また、政治家が法律や制度をつくり、それを運用しただけで解決できるものでもないのです。社会全体がいじめを自分たちの問題として真剣に捉え、いじめのない社会を実現するための運動を起こしていくことが大事です。
 その意味でも、辰沼小学校の取り組みのような〝大衆運動〟が広がることは、とても大切なことだと思います。公明党はこれからも〝現場の一人の声・一つの知恵〟を大事にして、大衆運動の広がりに貢献してまいります。

「義援金差押禁止法」の制定を目指す

 2018年は非常に災害の多い年でした。公明党はこれまでも災害復興のための義援金活動を支援してきましたが、残念ながら善意の義援金が被災者の皆様のお手元に届く前に、金融機関などによって住宅ローンなどの借金の返済分として差し押さえられてしまうことがあったのです。
 そういう状況を踏まえて、同年の西日本豪雨(平成30年7月豪雨)発生時には、臨時国会にて義援金の差し押さえを禁止する「平成三十年特定災害関連義援金に係る差押禁止等に関する法律」が成立しました。ただ今後、同規模の災害が起きた際に国会が開いていなければ、昨年のような迅速な対応ができないのでは、との懸念もあります。そこで公明党は今、「義援金差押禁止法」の恒久化実現に向けて、全力を尽くしています。
 私は恒久化の実現にあたっては、〝できるだけ多くの義援金を対象とすること〟が大事だと考えています。たとえば、「義援金差押禁止法」の対象となる「災害」の範囲をどうするのかということについても、「災害救助法」や「被災者生活再建支援法」などにおける災害を前提に議論を進めた場合、適応範囲が〝一定規模以上の被害が生じた災害〟に限定されるため、差し押さえ禁止対象の義援金も限定されてしまうのです。それでは本当に苦しんでいる人をお救いすることができません。
 党内では今、違う枠組みで捉えていく議論を進めています。この「義援金差押禁止法案」については他にも論点がありますが、いずれにせよ、「被災者のお一人お一人をお支えしていく」との視点に立って、早期の成立を目指してまいります。

子どもたちの成長が埼玉の未来をつくる

子どもたちの成長が埼玉の未来をつくる

「大衆とともに」との立党精神が流れ通う

 公明党にとって最も大きな力は、議員のネットワーク力です。他の政党にも〝国政から地方政治への命令系統としてのネットワーク〟はあるかもしれません。しかし、公明党のネットワークはそれとはまったく違います。公明党の地方議員は現場の皆様のお声に耳を傾け、そのお心に寄り添いながら動いています。そして、その地方議員と国会議員が密接に連携を図り、役割分担を明確にしながら共に力を合わせて、さまざまな問題の解決に取り組んでいるのです。
 また、公明党のネットワーク力の根底には、「大衆とともに」との立党精神が流れ通っています。2018年度の補正予算には、公明党の力強い推進で公立小中学校のすべての普通教室にエアコンを設置するための緊急対策が計上されました。このエアコンの設置についても、それぞれの自治体に任せるのではなく、国がどう応援していくのかという点まで考えて、予算をつけたのです。これも、地方議員と国会議員との密接な連携があって初めて実現できたことです。
 また、軽減税率の導入についても、「せめて生活必需品は」との現場のお声から生まれた施策です。
〝現場の声〟に耳を傾け、それを起点に行動する―。この地域に根ざした現場発のネットワーク力こそが公明党の力です。私自身も埼玉県公明党の一員として、これからも地方議員の皆さんと力を合わせながら、県民お一人お一人の幸福と地域の発展のために、全力を注いでまいります。

☆月刊誌『灯台』2019年2月号より転載


矢倉克夫さん やくら・かつお●1975年生まれ。東京大学法学部卒業。米カリフォルニア大学・ロサンゼルス校(UCLA)法学修士課程を修了。日本と米国ニューヨーク州で弁護士資格取得。元経済産業省参事官補佐。2013年の参議院議員選挙で初当選。これまで、農林水産大臣政務官、公明党経済産業部会長代理などを務め、現在、参議院公明党政策審議会副会長。