平衡感覚を養う「でんぐり返し」と「つま先立ち遊び」

平衡感覚は、運動能力を身につけるためにも、事故を防ぐためにも、必要な体の感覚です。生涯健康的な生活を送るためにも欠かせません。遊びのなかに取り入れて幼児期のうちに養っておきましょう。

走る、跳ぶ、踏ん張るなどさまざまな動きに必要な平衡感覚

 子どもには、道路の縁石や塀の上など、不安定な場所を歩きたがる時期がありますが、これは「無意識に平衡感覚を身につけようとしているからだ」ともいわれています。
 自分の体の位置を瞬間的に感じとり、体の傾きなどのバランスを調整する平衡感覚。バランスがとれていると体の軸がしっかりするため速く走れますし、素早く動くといった俊敏性も高まります。自転車や竹馬などの習得も早いでしょう。
 また、転びそうになってもすぐに体勢を立て直すことができるので、転倒や転落などの事故防止にもつながります。「平らな場所で転んでしまう」「ちょっとの衝撃で倒れてしまう」といった子どもには、積極的に「バランス運動遊び」をさせてあげましょう。
「怖い」「できない」といったマイナスのイメージを持たせてしまわないように注意しながら、子どものやる気や成長に合わせてチャレンジさせましょう。

まずは逆立ちに挑戦!

 逆立ちは、腕や背中の筋力を高め、平衡感覚や逆さ感覚を養うことができます。逆さ感覚がつかめないと、でんぐり返しや逆上がりなど、体が逆さになる運動がうまくできなかったり、恐怖を感じてしまうこともあります。幼児期のうちに慣れさせましょう。

①両手を肩幅に開きしっかり床につけます。

②足で床を蹴り上げます。

③足が浮いたら大人がしっかりと持ち上げます。

逆立ちができたら次はでんぐり返しに挑戦!

「でんぐり返し」遊び

 でんぐり返しは、平衡感覚に加えて腕の筋力や柔軟性も養うよい遊びです。体の回転に必要な勢いのつけ方や、力を入れるタイミングの感覚は、鉄棒や跳び箱などにも役立ちます。

■用意するもの
敷き布団、座布団

■遊び方
①両ひざを揃えてしゃがむ
②両手を肩幅より少し広めに、かつできるだけ遠くにつく
③おへそを見るように頭をかがめ、最初に後頭部を床につける
④一気にごろんと回る
⑤両足の裏を床につけ、前を向いて起き上がる

★チェック!
回る感覚やタイミングがつかめないときは、敷き布団の下に枕や座布団などを入れて小さな斜面を作り、回転に勢いをつけるとうまくいくでしょう。

「つま先立ち」遊び

 足の指や足裏を刺激することでバランス感覚を養います。また足裏に筋肉がつくので扁平足の予防にもつながります。

[ くねくね電車 ]
 長めの縄やひもを、床にくねらせて置きます。その〝線路〟の上をつま先立ちで、スピードを速めたり遅めたりして歩きます。

[ 忍者すり足 ]
 両手を胸の前で合わせ〝忍者のポーズ〟をつくったら、つま先立ちで、音を出さないようにすり足で進みます。

[ ひよこ散歩 ]
 つま先立ちでしゃがみ背筋を伸ばしたら、〝ひよこポーズ〟のできあがり。部屋の中を歩きましょう。慣れるまでは手をつないで支えてあげましょう。

★チェック!
どの遊びも、慣れてきたら後ろ歩きにも挑戦してみましょう。足の指にさらに強い刺激がかかります。

☆月刊誌『灯台』2013年5月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載