運動能力の基礎を育むボール遊び

親子で手軽に遊べるボール遊び。楽しくボールに触れることで、自然と身体も動かせます。発達に合わせて、少しずつボールに慣れながら、子どもの運動能力の基礎を育みましょう!

ボールに慣れる簡単な遊びから、少しずつステップアップ!

 転がったり、弾んだりするボールは、子どもたちにとっても魅力的な遊び道具。でも、ボール遊びが苦手な子は、苦手なまま過ごしてしまうことも多く、小学校に上がっても、投げる、蹴る、受けとめるなどの基本的な動きに自信が持てない子もいます。ボール遊びが苦手だと、学校の体育の授業などでも、楽しさを感じることができません。また、身体を動かすことや友だち同士の外遊び自体を、避けるようになってしまうこともあります。
 そこで今回は、運動能力の基礎を育むボール遊びを紹介します。まずは、身近な場所にボールを置いておき、子どもがボールに慣れるようにしましょう。そして、簡単な遊びからボールに触れ、子どもの発達の段階や興味に合わせて、少しずつ難しいことにも挑戦させます。ボールの大きさや硬さ、重さなども、子どもの発達に応じて扱いやすいものを選んでいきましょう。
 幼児期の環境や運動刺激が、その後の運動能力の伸びに影響を与えます。子ども自身が「ボール遊びは楽しい!」と感じられれば、ママやパパがびっくりするほど、どんどん上達していきますよ。

必要な動きは、身体を使った遊びのなかで身につきます

子どもは発達に応じて、身体をイメージ通りに動かしたり、臨機応変に動かしたりする力を徐々に身につけていきます。視覚でボールの動きを捉えながら、身体全体を思うように動かすのは、簡単なことではありません。毎日の遊びのなかでボールに触れさせ、いろいろな動きを体験させることで、少しずつできるようになっていきます。

【1歳頃】
体重移動を伴わずに、ボールを下に投げつけるような動きをする。

【6歳頃】
足のステップを伴い、手首のスナップをきかせてボールを投げられるようになる。

ボールに慣れよう!

まずは、簡単な遊びでボールに慣れることから始めましょう。硬いボールが身体に当たると「ボールは怖い」と思ってしまうことがあるため、初めは軟らかめのボールを用意します。

坂道コロコロ(1歳半頃から)
段ボールの板を空き箱の上にのせてつくった坂の上からボールを転がし、ペットボトルに当てて倒します。

ボール運び(2歳頃から)
大きめのボールを両手で転がしたり、足で蹴ったりしながら、ママやパパのいるゴールに運びます。

ボールをよけよう!(3歳頃から)
少し離れた位置から子どもと向き合い、ボールが来たらよけるように伝えて、子どもに向かってボールを転がします。慣れてきたら、スピードを速くしたり、バウンドさせたボールをよけたりする練習もしてみましょう。

ボール転がし(3歳頃から)
ボールを、少し離れた位置に立っている親の足の間に向かって転がします。

ステップアップ!
地面に大きな円を描き、子どもの動ける範囲をそのなかに限定します。さまざまな角度から、ボールを転がしたり、バウンドさせたりしましょう。

挑戦!基本のボール運動

少しずつ難しいことにも挑戦! 初めは、ママやパパが楽しそうにボールで遊ぶ様子を見せて、「まねっこできるかな?」と声をかけてみましょう。慣れてくれば、キャッチボールなども楽しめるようになるでしょう。

バウンドキャッチ(3歳頃から)
胸ぐらいの高さからボールを真下に落とし、跳ね返ってきたボールをキャッチします。胸の前で、抱きしめるようにしながら受けとめましょう。

ステップアップ!
向かい合った相手と、ボールをワンバウンドさせてキャッチボールをしてみましょう。

投げ上げキャッチ(4歳頃から)
真っすぐ上に投げたボールを、胸の前で抱えて取ります。投げた手は、素早くお腹の前に抱えて、ボールを下からすくうようにキャッチします。

ステップアップ!
向かい合った相手とキャッチボールをしてみましょう。下から両手で投げ、落下する場所に移動して受けとめます。

まりつき(4歳頃から)
慣れないうちは、両手でボールをつきます。胸ぐらいの高さから真下に落として跳ね返ってきたボールを、両手のひらで上から下に押すようにして、なるべく多くの回数をつきましょう。

ステップアップ!
慣れてきたら、片手で挑戦します。手のひら全体でボールをつく場合には、親が子どもの後ろに立ち、一緒にボールをついて、力の入れ具合やリズムなどを体感させます。

もっと楽しいボール遊び!

投げる、蹴る、受けとめるなどの動作を自然にできる、楽しい遊びを紹介します。

転がし的当て
ボールを2つ用意します。地面に適当な大きさの円を描き、1つのボールを中心に置きます。もう1つのボールを転がしたり、蹴ったりして、円の中心に置いたボールを、円の外に出すことができたら成功です。

おばけをやっつけろ!
空き箱などに、おばけを描いた紙を貼って的をつくり、小さなボールを当てて倒します。オーバーハンドで投げる練習になります。

3バウンド
大きめのボールを用意して、1人がボールを真上へ投げます。落ちてきたボールが地面に弾んだ回数を数え、3回弾んだら、ボールを取り合います。ボールを取った人は、他の人に向かって、ボールを投げるか転がして当てます。ボールが当たった人はアウト。ボールをよけるか、受けとめられればセーフになります。

お部屋でもできるこんな遊びもおすすめ!

小さな子やボールが怖い子は、軽くて軟らかい布製のボールで遊ぶことから始めましょう。タオルを丸めて、ヒモなどで縛ったタオルボールでも代用できます。
また、投げたり、受けとめたりなど、ボール遊びに必要な動きのある遊びは、ボール遊び以外にもたくさんあります。いろいろな遊びをしてみましょう。

タオルボールでの「投げ上げキャッチ」

≪ふうせんつき≫
軽くて動きの遅いふうせんは、動きをよく見て、追いかける練習に最適です。

≪紙飛行機飛ばし≫
オーバーハンドで投げる動作の練習になります。

≪水ヨーヨーつき≫
ボールをつく時の腕の使い方やリズムの感覚がわかります。

※マンションなどの集合住宅では、階下への足音などに配慮して、遊びましょう!

☆月刊誌『灯台』2019年10月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載