親子の会話を楽しみながら、伝える力を育もう

良好な人間関係を築く上で基本となる〝伝える力〟。子どもの伝える力を引き出すには、大人の聞き方・関わり方がとても重要です。楽しく会話をするなかで、子どもの伝える力を伸ばしましょう!

子どもが安心して話せる雰囲気づくりを心がけて、会話を楽しもう!

 人間が生きていく過程では、さまざまな人とのコミュニケーションが欠かせません。それは、子どもの成長過程にも言えること。自分の思いや考えを言葉にして伝えたり、人の気持ちや考えを聞いたりするなかで、少しずつ、良好な人間関係を築く方法を学び、考える力を伸ばしていくことができるようになっていきます。
 本来、子どもはおしゃべりが大好き! ママやパパに聞いてもらいたいこと、伝えたいことをたくさん持っているはずです。一方で、子どもに、「あまり話したがらない」「伝えることが苦手」といった様子が見られたら、それは、大人の聞き方に改善の余地があるのかもしれません。
 子どもが全面的に受け入れられ、安心して自分を出せる環境があってこそ、親子のよりよいコミュニケーションは生まれます。子どもと話すちょっとしたコツを知って、子どもの伝える力をじっくりと育んでいきましょう。

親子の会話、こんな感じになっていませんか?

子どもの伝える力を育むために基本となるのが、親子の会話。「うちの子は、あまり話したがらない」「話すことが苦手」と感じることがあったら、大人の対応を見直す余地が。以下の会話の例で考えてみましょう。

 せっかく質問をしたのに、期待したような返答が子どもから返ってこない時もありますよね。この例の場合、親が話を聞きたいタイミングは、子どもの話したいタイミングではなかったのかもしれません。また、子どもにとって、興味のないことを話題にしていたり、質問の内容が漠然としていたりすると、子どもはどう答えてよいかわからないことがあります。

 忙しいと、要領を得ない子どもの話をゆっくり聞くなんて、やっていられないと感じることもありますよね。でも、あまり話したがらない子が話しかけてきたとしたら、親子で会話を深める大きなチャンスです。できるだけ手を止めて話を聞いてあげられるとよいですね。どうしても手が離せない場合には、「今は無理だから、あとで聞かせてね」とひと言かけ、必ず約束を守るようにしましょう。

 何か言うと言い返されたり、怒られたりして話をさえぎられると、子どもにとって話すこと自体が楽しいことではなくなってしまいます。正しいことを教えたい気持ちもわかりますが、そこはグッと我慢。まずは、子どもの話を聞き、気持ちをまるごと受け止めて、「次からどうしたらよさそうかな」などと、自分で考えられるように促してあげましょう。

話したり聞いたりする力は、親子の楽しい会話で伸びる

子どもが何かを話したり、伝えようとしたりする時は、会話の主役は子ども自身。子どもが安心して話せる雰囲気をつくりましょう。

子どもの話したいこと、興味のあること、好きなことについての話をする

 子どもにとって話したいことと、大人の知りたいことは、一致していないことも多いはず。でも、普段は口数が少ない子であっても、自分の好きなものや興味のあることなら、どんどん話す様子が見られませんか? 大人が知りたいことではなく、子どもが話したいことを話題にすると、楽しく会話ができるはずです。「どれが好きなの?」などと、子どもの好きなものに関心を向けて一緒に楽しむようにすると、よいコミュニケーションが築けます。

話しかけてきたタイミングを逃さない

 親が知りたいタイミングは、子どもにとって話したいタイミングとは限りません。子どもがあまり乗り気でないようなら、無理に会話を続けようとせず、子どもから話しかけてくるタイミングを待ってみましょう。子どもに話したいタイミングが訪れたら、逃さずに耳を傾けてあげてください。

子どもの言葉を先回りしない

 子どもが話しかけてきたら、「うんうん」「そうなんだね」「へぇ~」などとあいづちを打ちながら、耳を傾けます。子どもが言葉に詰まっていると、ついつい先回りして、「こういうことでしょ?」と結論づけたくなりますが、そこはグッと我慢。時間がかかっても、子どもの言葉を待ちましょう。

抽象的な質問は答えにくい

「幼稚園はどうだった?」などの質問は、子どもにとって具体的なイメージが湧きづらく、どう答えてよいかわからないことがあります。「園庭では何をしたの?」「お昼ごはんは何を食べたの?」「誰と一緒に遊んだの?」「どうやったら、うまくいったの?」など、より具体的な時間や場面が思い浮かぶような質問にすると答えやすくなります。

インタビューごっこで、
伝える力、質問する力を育もう

コミュニケーションをとるなかでとても大切な要素の一つが、言葉のやりとり。自分のことを話すだけではなく、相手のことに興味を持ち「質問すること」で、会話がもっと楽しくなります。インタビューごっこで、楽しく言葉のやりとりをしてみましょう! 手づくりのマイクがあると盛り上がりそうですね。

①まずは、大人から子どもに質問をしてみましょう。子どもの答えやすい質問、好きなことに関しての質問をするのがコツです。

<質問例>

「好きな遊びはなんですか?」
「今日はどんなお友だちと遊びましたか?」
「明日は何をして遊びたいですか?」
「好きなアニメのキャラクターはなんですか?」
「大きくなったら何になりたいですか?」

②次に、子どもから大人に質問をしてもらいます。

③役割を交代しながら、さまざまな質問をしてみましょう! やりとりに慣れてきたら、「それはどうしてですか?」「どこが好きですか?」など、内容を掘り下げる質問を追加してもよいですね。

マイクのつくり方

アルミホイルを丸めてボールの形にし、トイレットペーパーの芯の上にのせます。丸めたアルミホイルの中心でセロハンテープを交差させるように貼ると、固定しやすくなります。

☆月刊誌『灯台』2020年11月号「子育てプラザ」より転載