芽生えた意欲「自分でする!」を応援する

ついこの間まで、身の回りのことをすべてママに世話されていた子どもが、ある日「自分でする!」と意思表示をするようになります。赤ちゃん時代からの卒業です。上手に応援してあげましょう。

「自分でする!」は将来への大切な一歩

 1歳を過ぎると、子どもの手足の力は一段としっかりして行動半径が広がり、好奇心も旺盛になってきます。「自分でする!」という意思表示が目立ってくるのもこのころです。
「自分でする!」と言っても、最初は本当にできるわけではありません。かえって散らかしたり汚したり、時間がかかってイライラさせられることも多く、思わず「もういいから、ママがしてあげる」「自分でするなら早くしなさい」など、怒ってしまう場面もあるでしょう。
「自分で」という行動は、わがままとは違い、立派な自我の表れです。失敗しながら学び、自分でできたという達成感を味わうことは、もっと挑戦しようとする次の意欲につながり、将来に続く大切な一歩になるのです。
 ただし、毎日身の回りのことに「自分で」の意欲が発揮されると、現実問題としては、手間がかかり、面倒なことも確かです。そこで、ママの負担が大きくならないように、子どもをどうサポートすればいいか、考えてみました。ぜひ子どもの「自分でする!」を応援してあげてください。


やる気を上手にはぐくむ方法

 子どもが「自分でする!」と張り切っても、実際にはなかなかうまくできなかったり、頑張っている姿を、応援してもらえなかったりすると、せっかく芽生えた子どものやる気がしぼんでしまいます。
 そこで、やる気をはぐくみ、上手にサポートする方法をいくつか紹介します。

食事

 初めは上手に食べられないのに、「自分で」と言って服や周囲を汚してしまう食事タイム。ちょっとした工夫をして、「自分で」という意欲をサポートしましょう。

◯料理・・・スプーンを使って上手に食べられない1歳ごろは、1品でもいいので、ニンジンのスティックやプチトマト、小さいおにぎりなど、手づかみで食べやすいものを用意。手で上手に食べられると落ち着き、またスプーンに挑戦できる。
 2歳を過ぎて歯が生えそろうころには、嚙み切れるものはひとくちサイズにせず、大きいままお皿にのせる。自分で工夫して食べる練習に。

◯食器・・・幼児用の軽い食器やお椀などは倒れやすく、こぼすことが多い。重い器のほうが安定する。また、深めで底が広いものだと、スプーンですくいやすい。背の高いコップは、ひじなどでひっかけやすいので、避ける。

◯エプロン・・・ごわごわしない材質で防水のものが便利。時にはタオル地のエプロンをさせ、「こぼすと濡れて気持ちが悪い」という体験をすることも大切。

◯汚れ防止・・・椅子の下にビニールシートだけでは、シートを拭いて乾かすなど、後始末が面倒。シートの上に新聞紙や広告紙を敷くと、そのまま捨てられて簡単。

着替え 

 焦ると、なかなか自分で着替える練習ができません。早めに「着替えタイム!」など声をかけ、余裕をもって着替えられるようにしましょう。着替えと一緒に、脱いだ服を自分でたたませるといい習慣になります。簡単なたたみ方で十分なので、たたむこともすすめてみましょう。

◯1歳ごろ・・・自分で手足を動かして積極的に着替えようとしたら、「右足を入れて」「バンザイして」など、親が声かけをしながら着替えさせる。

◯2歳ごろ・・・もっと「自分で」と意欲的になった場合、親は手を出さず、「上手ね。おそではこっちよ」など、教える。また、脱ぐことのほうが簡単なので、まずは自分で脱ぐ練習を促すとよい。

◯3歳ごろ・・・簡単な脱ぎ着ができるようになれば、ボタンはめにも挑戦できる。はめやすい大きさのボタンがついた服を用意。親も一緒に着替えて、「ほら、一緒ね。ママも今ボタンをはめているところ!」などと言って、見せる。

歯磨き 

 歯磨きの「自分で」を応援する際に大事なことは、歯磨きを嫌がらないようにすることです。

◯1歳ごろ・・・歯ブラシを持ちたがったら、赤ちゃん用を持たせる。自分で磨くまねをしたら「上手ね」と褒め、仕上げは親がする。

◯2歳ごろ・・・口の中でぶくぶくとうがいができるようになったら、磨き方を教えるチャンス。途中で嫌がったら無理強いせず、親とのスキンシップの時間として親が磨いてあげる。

◯3歳ごろ・・・うがいも上手になるので、歯磨き剤をつけて磨けるようになる。3歳児歯科検診の際に正しい歯の磨き方を指導してもらうとよい。

☆月刊誌『灯台』2010年12月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載