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【発達障害】第6回 ADHD(注意欠陥・多動性障害)とLD(学習障害)の特徴

児童精神科医
川崎医療福祉大学 特任教授
佐々木正美

 前回は、「診断名にとらわれ過ぎないで」という内容で書きました。ADHD(注意欠陥・多動性障害)もLD(学習障害)も自閉症も〝スペクトラム(連続体)〟であり、どのような特徴に目を向けるかで呼び名が異なるだけなのです。
 そこで今回は、ADHDとLDの特徴を見ていきます(自閉症は連載第3、4回で紹介しました)。
 まずADHDは、「注意欠陥・多動性障害」という日本語での名前がついているとおり、集中力や注意力が低かったり(注意欠陥)、落ち着きがなくよく動く(多動性)という特徴があります。学校の授業では、すぐ席を離れてしまったり、隣の子に話しかけてしまうことが多いので、先生からは「しつけができていない」とか、「勉強嫌いの怠け者」と思われがちです。
 LDは、記憶学習や計算が得意な一方で、それを応用する学習が苦手なことが特徴です。小学校低学年のときに成績がよい場合が多いのは、そのためです。
 症状は、年齢とともに変化していくことがあります。
 ADHDは、中学から高校へと進むにしたがってその症状が弱くなり、大学に入る頃には治まるケースが多く見られます。ですから、幼児期や小学校低学年頃まではADHDという診断を下されることが多く、その後はLD、さらに成長すると高機能自閉症と診断されがちです。しかし、同じ発達障害であることには変わりはありません。決して「複数の障害」を持っているわけではないのです。
 発達障害を持つ人に対して配慮すべきことは、できるだけ視覚に訴えて情報を伝えること。勉強においては、言葉で教えるよりも、教科書やノート・黒板などを使うことで、学習効果が上がるはずです。

発達障害への理解を深めるために⑥ 

●ADHDは落ち着きがなく注意力が低い。LDは応用問題が苦手。症状は年齢とともに変化することがあるので診断名が変わることがあるが、決して障害の数が増えるわけではない。

☆月刊誌『灯台』2013年9月号より


佐々木正美 ささき・まさみ●1935年生まれ。群馬県出身。新潟大学医学部卒業。臨床約40年の経験を持つ。現在、川崎医療福祉大学特任教授。自閉症の支援プログラム(TEACCH)をアメリカから日本に紹介した。著書は『子どもへのまなざし』(福音館書店)など多数。