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【発達障害】第4回 自閉症②―周りの理解があれば必ず幸せになる

児童精神科医
川崎医療福祉大学 特任教授
佐々木正美

 自閉症の人は言葉よりも視覚のほうが物事を認識しやすいので、大事なことを伝える場合は、言葉よりも絵や文字を使うと効果的です。また、「物を同じ場所にしまう」「同じ通学路を通る」など、決まった行動パターンをとることで落ち着きを得ることができるので、いつもと違う状況、たとえば通い慣れた通学路が通れなかったりすると、混乱することもあります。いつもと違う状況が予想される場合は、混乱を避けるためにそのことを事前に絵や文字で伝えておきましょう。
 親御さんは、学校の先生や友だちに理解を求めて、必要に応じてサポートをしてもらえるようお願いしましょう。周りの人たちは、自分から声をかけてあげればすぐに仲良くなれる場合が多いはずです。しかしマイペースなので、付き合ううちにわがままに感じられることも出てくるでしょう。それをいい意味で見過ごすことができれば、長く付き合うことができると思います。
 大人になった彼らは共通して「1番つらかったのは、無理解なのに一生懸命な人だった」と言います。これは、自閉症への理解がないのに懸命に勉強などを教えようとし、そしてできないとそのことを責める人たちのことを指しています。自閉症の子たちはコミュニケーションが苦手で言い返すことができないため、積もり積もって「皆が自分を責めている」と被害妄想的になり、あるとき暴力として爆発してしまうことがあるのです。
 本当は、まじめで裏表がなく、意地悪をしないいい子たちです。一芸に秀でることも多いので、ある特定の分野で優れた研究者になる人もたくさんいます。ですから「できることだけ伸ばせばいい」という、「親と周りの理解」が何より大切なのです。

発達障害への理解を深めるために④【自閉症】 
●大事なことを伝える場合は、言葉よりも「絵」や「文字」による伝達が効果的
●周りの〝無理解なのに一生懸命〟な人が、自閉症の子どもを被害妄想的にさせ、追い詰める

☆月刊誌『灯台』2013年4月号より


佐々木正美 ささき・まさみ●1935年生まれ。群馬県出身。新潟大学医学部卒業。臨床約40年の経験を持つ。現在、川崎医療福祉大学特任教授。自閉症の支援プログラム(TEACCH)をアメリカから日本に紹介した。著書は『子どもへのまなざし』(福音館書店)など多数。