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【発達障害】第3回 自閉症―高い視覚能力と弱い想像力

児童精神科医
川崎医療福祉大学 特任教授
佐々木正美

 自閉症の特徴はいろいろありますが、その土台となるものは、「視覚的な能力は高いが、想像力が弱い」という特性です。
 遊びでいえば、ジグソーパズルや神経衰弱など、視覚的な能力を必要とする遊びは得意ですが、友だちとの駆け引きや想像力を必要とする鬼ごっこなどはうまくできません。必然的に1人遊びが多くなります。
 学校の勉強であれば、算数の計算や漢字の書き取りなど、目で見て確認できるものや答えが決まっているもの、規則性が明確なものはよくできますが、想像力を必要とする作文や算数の応用問題は苦手です。こうした傾向があるため、小学校低学年頃までは勉強ができるように見えても、高学年あたりからは苦手になることが多いのです。
 コミュニケーションは、相手の気持ちを想像しながら行なうものなので苦手です。幼い頃は、自分が興味のあることに夢中になってマイペースに1人で遊ぶことが多いですが、大きくなると、このマイペースが「場の空気を読めない」となり、周りからは「変なヤツだ」とか「ずるいヤツだ」と思われがちになります。仲間外れやいじめの対象になってしまうこともあります。
 わが子が自閉症だと知らない場合、この「コミュニケーションが苦手」という特徴が大きなストレスになりがちです。会話がうまくいかなかったり、視線を合わせようとしなかったり、また自分が思ったことを真っ正直に言うのでカチンときたりするからです。しかし、本人に悪意はまったくありません。正直だしウソもつきません。障害の特性を理解すれば、本当にいい子なのです。
 次回は、さらに詳しく自閉症の特性を知り、正しい向き合い方について考えましょう。
 

発達障害への理解を深めるために③【自閉症】 
●視覚的な能力が高いので、パズルや規則性が明確な計算、漢字の書き取りなどは得意
●コミュニケーションが苦手なので周りは頭にくることも。しかし本人に悪意はまったくない

☆月刊誌『灯台』2013年3月号より


佐々木正美 ささき・まさみ●1935年生まれ。群馬県出身。新潟大学医学部卒業。臨床約40年の経験を持つ。現在川崎医療福祉大学特任教授。自閉症の支援プログラム(TEACCH)をアメリカから日本に紹介した。著書は『子どもへのまなざし』(福音館書店)など多数。