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【発達障害】最終回 発達障害と結婚

児童精神科医
川崎医療福祉大学 特任教授
佐々木正美

 いよいよ最終回になりました。最後は、結婚について考えます。
 言うまでもありませんが、双方がお互いを理解したうえで結婚をするのであれば、それはすばらしいことだと思います。
 ただ、発達障害の人には〝自分の意見を曲げない〟とか〝融通が利かない〟という面もあるので、相手からは「わがままな人」や「変な人」に見られてしまうかもしれません。
 特に相手が発達障害だということを知らない場合は、相手の持つ障害の特性に悩むことが多くなるでしょう。ですから本人の意思にもよりますが、事前に障害について説明をし、理解してもらっておいたほうが、その後の生活はスムーズにいくはずです。
 私のところには、相手の障害を知らないまま「自分の夫(妻)が〝奇人〟〝変人〟で困っている」と相談に来る方がいます。そういうときは「変わっていると思うかもしれませんが、そういうふうにしかできない」と、障害の特性を交えて説明し、理解してもらいます。そのうえで〝人をおとしめることや嘘をつくことなどは絶対にしない 〟と発達障害の長所を伝えると、たいていの場合、相談に来た方は気持ちをリセットすることができ、それから夫婦関係が良好になっていきます。

 発達障害は直すものではなく、個性や特性ととらえるべきものです。その個性や特性を大切にすることができれば、障害はハンディキャップにはなりません。ですから、本人のやりたいことやできることをサポートするような育て方をしてほしいと思います。そうすれば、後から振り返って〝あれでよかったんだ〟と思える日がくるはずです。
 誰もが発達障害を1つの個性としてとらえることのできる社会―成熟した社会が、少しでも早く訪れることを祈っています。

発達障害への理解を深めるために⑫ 
●結婚においても、障害の特性をよく理解する(してもらう)ことが何よりも大切。
●仮に発達障害が原因でもめたとしても、特性や長所を理解することで関係が良好になることが多い。

☆月刊誌『灯台』2014年3月号より


佐々木正美 ささき・まさみ●1935年生まれ。群馬県出身。新潟大学医学部卒業。臨床約40年の経験を持つ。現在、川崎医療福祉大学特任教授。自閉症の支援プログラム(TEACCH)をアメリカから日本に紹介した。著書は『子どもへのまなざし』(福音館書店)など多数。