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【発達障害】第11回 人生の岐路・進学や就職をどのように考えるか

児童精神科医
川崎医療福祉大学 特任教授
佐々木正美

 今回は、進学や就職について考えましょう。
 まず進学についてですが、本人が望み、進学できるだけの学力があるのなら、どこの学校に進んでも構わないと思います。これまで繰り返し、この連載で述べてきたように、発達障害の子たちが持つ特性を1つの個性として認め、できないことを責めるのではなく「できること・やりたいこと」を伸ばしていくことができれば、「社会」に適応した生活が送れるようになるからです。
 ただ、発達障害の子たちは「環境の変化」に弱いので、可能であれば「一貫教育」を行なっている学校への進学がいいでしょう。それができれば、たとえば中学から高校に進学する際、中学の先生たちの理解を、高校の先生たちに引き継いでもらいやすくなります。当然、事前によく調べるなどして、発達障害の子を受け入れる体制が、できるだけ整っている学校を選ぶことも大切です。
 大学については、進学してまでも本人に“やりたいこと”があるのかどうかが、大きな判断基準の1つになります。特に〝やりたいこと〟がなければ、無理に進学させる必要はないかもしれません。
 発達障害の子たちは一芸に秀でることも多いので、そうしたものが、大学でさらに伸ばせるのであれば、それが一番でしょう。
 仕事を選ぶ際は、営業職など人との折衝が重要になる仕事はなるべく避け、技術職や専門職などがいいと思います。そして会社が決まったら、可能な限り事前に、発達障害であることを伝えられるといいですね。
 ただ、それができなくても、“ちょっと変わった人だな”と思われる程度で済むことがほとんどですし、採用されれば皆まじめに働くので、心配はいらないでしょう。社会人として、立派に自立していけるはずです。

発達障害への理解を深めるために⑪ 
●本人が望み、学力もあるのなら、どこの学校に進学しても大丈夫。ただ、メリットが多いので、可能であれば一貫教育を行なっている学校に。
●仕事は営業職を避け、技術職や専門職に。

☆月刊誌『灯台』2014年2月号より


佐々木正美 ささき・まさみ●1935年生まれ。群馬県出身。新潟大学医学部卒業。臨床約40年の経験を持つ。現在、川崎医療福祉大学特任教授。自閉症の支援プログラム(TEACCH)をアメリカから日本に紹介した。著書は『子どもへのまなざし』(福音館書店)など多数。