P052_発達障害_4

【発達障害】第8回 治すのではなく、私たちが歩み寄る

児童精神科医
川崎医療福祉大学 特任教授
佐々木正美

 発達障害は病気ではありません。ですから、治すものでもありません。〝ある特性を持っている〟というだけなのです。
 その特性を持ったまま発達障害の子たちが幸福に生きていくためには、「私たちが彼らに歩み寄ること」が必要でしょう。彼らを私たちが希望するような状態に仕向けるのではなく、彼らが望んでいる環境を私たちが作るのです。
 発達障害の子を持つ親御さんたちには、わが子を、自分が願うような子に育てようとするのではなく、〝この子が願うような親になろう〟と努力してほしいと思います。学校や幼稚園・保育園も、彼らがどんな環境を望むかを考えてほしいのです。
〝そんなことをしたら、過保護になるのではないか〟と心配する方もいるかもしれません。しかし、その心配は不要です。
 発達障害の子たちは、素直でまじめで裏表がありませんから、人をだまして怠けるということはしません。学びやすく生きやすい環境を私たちが作ることができれば、一生懸命に努力して成果を上げるはずです。
 また、得意なことは非常によくできますから、それをどう伸ばすかにエネルギーを注いでいきたいですね。
 逆に苦手なことをさせようと、周りがどんなに労力を割いても、成果はごくわずかな場合が多いでしょう。苦手なもの、たとえば学校の宿題などは、しないまま学校に行かせるのはかわいそうですから、親が手伝ってあげればいいのです。
 発達障害の子たちは、優れた特性を必ず持っています。好きなことにしか熱中しないので、よく見ていれば何が得意かわかってくるはずです。

発達障害への理解を深めるために⑧ 

●発達障害は治すものではない。ある特性を持っているというだけ。
●発達障害の子たちが望む環境を作ることが大切。そうすれば、彼らの能力を伸ばすことができる。

☆月刊誌『灯台』2013年11月号より


佐々木正美 ささき・まさみ●1935年生まれ。群馬県出身。新潟大学医学部卒業。臨床約40年の経験を持つ。現在、川崎医療福祉大学特任教授。自閉症の支援プログラム(TEACCH)をアメリカから日本に紹介した。著書は『子どもへのまなざし』(福音館書店)など多数。