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【発達障害】第7回 発達障害を受け止めることから子どもの幸福が始まる

児童精神科医
川崎医療福祉大学 特任教授
佐々木正美

 正確な人数はわかりませんが、引きこもりの人たちの中に「発達障害と認識されずに大人になってしまった人」が、一定の割合でいると考えられています。本当に悲しいことです。発達障害が早期に発見され、早くから正しい養育を行なうことができれば、このような事態は避けられたかもしれません。ですから早期発見が望まれるのです。
 ただ「早期発見」と言っても、発達障害は子どもが小さい頃はわからないことが多く、3歳児健診でもおおよそ半数はそのように診断されません。しかし幼稚園に入ると、先生によるほかの子どもとの客観的な比較によって、大半が「発達障害ではないか」と疑われるようになります。たとえば「言葉の聞きわけがやや悪いこと」や「落ち着きがないこと」、また「衝動性が強いこと」などの点からです。
 お子さんに発達障害の可能性が出てきたら、小児科、あるいは市区町村に設置されている発達支援センターなどで相談するといいでしょう。
 障害を宣告された場合は、できるだけ早い段階で、その事実を受け止めることが大切になってきます。当然、親御さんは大きなショックを受け、「うちの子は違う」と事実を受け止められないこともあるでしょう。しかし、そのままでいると、子どもの障害の特徴を、無理やりに、また口うるさく修正しようとしてしまいます。これは、発達障害の子に一番行なってはいけない養育なのです。実はこのような「口うるさい」養育は、障害を宣告された親御さんの多くに見られる傾向です。
 発達障害の子たちは、ある領域では高い能力を発揮します。繰り返しになりますが、その能力を伸ばすためにも、早い段階で障害を受け止めることが大切です。ぜひ専門家のアドバイスを受けながら、正しい養育を心がけてください。

発達障害への理解を深めるために⑦ 

●できるだけ早い段階で発達障害だとわかることが望ましい。
●障害を受け止めて正しい養育ができれば、能力を伸ばすことができる。

☆月刊誌『灯台』2013年10月号より


佐々木正美 ささき・まさみ●1935年生まれ。群馬県出身。新潟大学医学部卒業。臨床約40年の経験を持つ。現在、川崎医療福祉大学特任教授。自閉症の支援プログラム(TEACCH)をアメリカから日本に紹介した。著書は『子どもへのまなざし』(福音館書店)など多数。