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命の危険に及ぶ摂食障害

灯台編集部編

摂食障害(拒食症と過食症)は、人間にとって重要な〝食〟に関わる、命の危険に及ぶ〝こころの病〟です。

摂食障害とは

 食事を自ら制限する「拒食症」と、過剰な大食を繰り返す「過食症」を「摂食障害」といいます。どちらにも「肥満の恐怖」「やせることへの執着」があり、大食後に体重の増加を防ぐため自ら嘔吐する場合もあります。
 栄養バランスの崩れが身体と精神への大きなダメージになり、長期化するとなかなか回復せず、ときには死に至る危険な病気です。

■拒食症(神経性無食欲症)
※10代後半に多い(低年齢化の傾向)
 ・少ない食事と過剰な運動、または大食いと代償行為(嘔吐・下剤等使用)
 ・体重が、標準体重の85%以下
 ・体重増加に対する強い恐怖がある
 ・やせていても太っていると感じるボディーイメージの障害
 ・無月経(連続3ヵ月以上)

■過食症(神経性大食症)
※20代前半に多い(低年齢化の傾向)
 ・大食いを繰り返す
 ・体重増加を防ぐための代償行為(嘔吐や下剤等使用)がある
 ・大食いと代償行為を週2回3ヵ月以上持続
 ・自分の体型や体重に対する強迫観念


きっかけと原因

 摂食障害になるきっかけの多くはダイエットですが、性格的な傾向や人間関係や家族関係などのストレス、また虐待が引き金になったり、発達障害(アスペルガー症候群や広汎性発達障害)の〝こだわりの強さ〟なども原因になることもあります。
 テレビや雑誌などで「やせたほうが美しい」と盛んに言われることや、24時間営業のコンビニの急増が拍車をかけています。

なりやすい子の性格的な特徴

 摂食障害になりやすい子の性格的な特徴があります。
 たとえば、何事にも徹底していて「中途半端はイヤ」という傾向性は、病気を引き起こしやすいのです。
 他にも「こだわりが強い」「マイナス思考」などの傾向があると言われています。
 また、成長の過程であまり手のかからない「よい子」もなりやすい、とも言われています。

こんな性格は要注意 

【完璧主義】
がんばり屋さん。ダイエットしようと決めると完璧に行なう。体重が減少すると達成感があるので歯止めが利かなくなる。

【真面目で几帳面】
周囲の人に気を使う優しい性格。しかし自己主張が下手で自主性が乏しいため、「イヤ」と言えない八方美人。悩みを抱え込みやすい。

【人の評価を気にする】
過保護や過干渉の親に育てられた子に多い。「振り向いてほしい」「慰めてほしい」など、人の評価を気にする。自分への評価が低い。


摂食障害の症状

 拒食で栄養が不足したり、過食などで嘔吐を繰り返すと、体重が著しく減少し、体にさまざまな異常が現れます。
 たとえば、栄養不足によって脳が萎縮したり、嘔吐によってカリウムが排出されると不整脈になりやすく、運動中に突然死する危険性が高まったり、腸の血管が細くなり腸が動かず激しい便秘などの症状を起こします。それが続くと、長期化するだけではなく、別の精神疾患を引き起こすこともあります。

摂食障害の症状と合併症 

○摂食障害の症状
・極度の体重減少 無月経(女性)
・脳萎縮
・虫歯、薄い毛髪、手の吐きダコ
・肝機能障害、腎機能障害
・貧血、低血圧、低体温、不整脈
・便秘や腹痛、膨満感 むくみ
・低カリウム血症
・骨粗鬆症、筋力の低下、皮膚の乾燥
・嘔吐による消化器系の障害

○合併症
・うつ病
・リストカットなど自傷行為
・アルコールや薬物依存症
・パニック障害
・強迫性障害 対人恐怖症
・イライラや集中力の低下


摂食障害の治療

医療機関への受診は早めに
 摂食障害は、心身ともに健康を取り戻す必要があり、入院や通院によって日常の食行動を改善し維持します。長期化すると治りにくくなるので、早めの受診が必要ですが、以下の場合は生命の危険があるため一刻も早い対応が必要です。
 ①低体重(標準体重の70%以下)でむくみ、②自傷行為が多く、自殺をほのめかす、③薬物依存、アルコール依存、④意識の障害、⑤歩行が困難なほど衰弱、など。

ストレスを減らす生活とサポート
 摂食障害の子には、考え方の偏りや歪みを取り除くことが病気の克服につながります。ですから、何事にもおおらかな気持ちで向かうことなどが大切です。
 また、両親とのわだかまりや、家庭の問題などのストレスを除くことも大切です。食行動の正常化のために、親の監視下で子どもに食事を摂らせたいと考えるかもしれませんが、焦らずに信頼関係の中で見守りましょう。


☆月刊誌『灯台』2011年5月号より転載