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増える子どものうつ病

灯台編集部編

ある統計では100人中、児童期(小学生頃)では1~2人、青年期(中学生以降)で2~8人の子どもがうつ病にかかっています。

「うつ病」とは

 問題にぶつかりストレスを抱えれば、誰でも気分が落ち込む「うつ状態」になります。
 そうしたつらく苦しい状態が長く続き、趣味や楽しいことでも気が紛れず、むしろ楽しいことなどもつらく、思考力の低下、体のだるさや不眠、食欲低下、頭痛・腹痛などにより、日常生活に支障をきたすのが「うつ病」です。うつ病になるとこころの回復力が失われ、問題が解決しても気分は晴れないのです。

うつ病とうつ状態の違い 

 うつ病
憂うつさ:強い
期間:長い(2週間以上)
趣味や楽しみ:気分は変わらない、興味がなくなる、つらくなる
仕事や勉強:手につかない、職場や学校に行けない
日常生活:支障がある(食欲低下、過食、不眠など)
身体症状:体調不良(頭痛や腹痛、めまいなど)
問題解決後:気分が晴れない

 うつ状態
憂うつさ:弱い
期間:時間の経過とともになくなる
趣味や楽しみ:気分が晴れる
仕事や勉強:気が紛れる
日常生活:あまり影響しない
身体症状:軽い
問題解決後:気分が晴れる


子どももうつ病になる

 最近、子どもはつらい気分をうまく伝えられないだけで、「子どももうつ病になる」ことがわかりました。
 子どものうつ病の特徴は、頭痛や腹痛などの体の症状や、年齢が低い子どもの場合はイライラや甘え、思春期ではやる気の減退、反抗的・攻撃的な態度などが見られます。ただし、それがうつ病のサインなのか、病気ではなく思春期特有の不安定なこころに原因があるのかは、身近な家族が注意深く見てあげる必要があります。

子どものうつ病の主な原因 

・離婚など家庭環境が不安定
・気分が不安定になりやすい気質
・受験勉強などを強いられるなどの強いストレス
・常に怒られている
・発達障がい(自閉症やADHDなど)
・虐待を受けている

子どものうつ病のサイン 

・頭痛や腹痛
・遅刻や早退、不登校
・引きこもり
・不眠や過眠(睡眠障害)
・食欲の急激な変化
・何事もやる気がなくなる
・成績が下がる
・リストカットや暴力行為、非行


子どものうつ 治療とケア

 重症のうつ病の場合、自殺の危険もあるので「早期発見」「早期治療」が大切です。うつ病は適切な治療をすれば治る病気ですが、病気の状態やタイプによって治療方法が変わりますので、安易な自己判断はせず、必ず医師の診断を受けましょう。

■学校への相談
クラスの友人との関係やクラブ活動などでの、子どもの様子を知ったり、またスクールカウンセラーや養護教諭に相談するためにも、担任の先生とのこまめな連携は欠かせない。不登校の場合は授業の進度や出席日数、進路の相談も必要になる。

■医療機関への相談
専門的な「精神科(心療科)」、または「思春期外来」を受診する。心理的な抵抗があるようなら、「心療内科」や、専門ではないが「小児科」「内科」へ。通院しやすいかどうかも重視する。自殺を口にしたり、自傷行為・暴力行為等があればすぐに相談することが大切。


うつ病の治療

 子どものうつ病は大人と同じく、①抗うつ剤を中心にした薬物療法、②悲観的な考え方の傾向など「認知のゆがみ」を修正する認知行動療法による治療を行います。担当医との相性が合わない場合、別の医師を紹介してもらうことも可能です。
 ①発症→②急性期(症状の悪化)→③回復期→④維持期(症状の安定)と、個人差はありますが半年~約1年かけて回復します。治療の際は学校を休むなど十分な休養をとるようにします。


家族のサポートが大切

 うつ病の子どもに対しては「がんばりが足りない」などの周囲の無理解や偏見に加え、本人の自尊感情が低いこともあるので、身近な家族が子どもの一番の味方になって、安心感を与えてあげることが何より大切です。
 うつ病は短期間で治る病気ではありません。無理な目標をもったり、親の焦りから出た「~すべきだ」「がんばれ」など、子どもが焦りを感じたり、自分自身を責めてしまうような声かけは禁物です。


☆月刊誌『灯台』2011年5月号より転載