HD002_L

(中学校)教師座談会 学校との連携で子どもをサポート

灯台編集部編

 中学に入ると、それまでと環境が大きく変わり、さまざまな問題にぶつかります。そうした問題を乗り越えるために、学校との連携のとり方などを語っていただきました。
 

[座談会参加者]
Aさん:東京都・公立中学校/教諭歴35年/担当教科:理科

Bさん:埼玉県・公立中学校/教諭歴31年/担当教科:数学

Cさん:千葉県・公立中学校/教諭歴30年/担当教科:国語

Dさん:埼玉県・公立中学校/教諭歴18年/担当教科:理科

Eさん:神奈川県・公立中学校/教諭歴18年/担当教科:英語

新しい環境で、新しく挑戦を――リセットできるチャンス、先入観は持たずに

Cさん 私はよく新入生に「何事にもチャレンジしよう」ということを話します。

Aさん 複数の小学校から生徒が集まって、人間関係も新しくなる中学校は、それまでの小学校時代の自分を〝リセット〟できるチャンスですよね。

Eさん 私も、中学校では先入観を持たずに何事にも挑戦してほしいと思います。自分の入った学校の評判はこうだからとか、こうするべきだなどと思い込んでいると、挑戦する機会も失いがちです。

Bさん 子どもは、新しい環境に対する期待とともに、不安も抱えています。ですから、保護者の方はぜひ、入学後のお子さんの様子や変化を見ていただきたいですね。

Dさん 入学当初は張り切っているのですが、5月ぐらいから疲れてくることがよくあります。その時期に、聞き役になって、励ましてあげることが大事だと思います。

学校の規則は社会のルールを学ぶ第一歩――学校によってさまざまな規則があります

Dさん 中学校では、服装や髪の色などに至るまで細かいルールが決められている場合もあり、戸惑う生徒保護者の方がいますね。

Aさん 私のところでは、冬には、セーターやカーディガンについて、濃い茶・黒・濃いグレーの3種類の色のみ着用してもいい、ということになっています。ところがあるとき、薄いグレーのセーターを着てきた女子生徒に注意したら、その親御さんから猛反発の電話がかかってきたことがありました。

Cさん うちの学校では、カーディガンは禁止なんです。

Bさん それはどうしてですか。

Cさん 以前はオーケーだったんですが、ボタンを開いてだらしなく着る生徒が増えて、学校によくない雰囲気がはびこってしまったため、禁止になったのです。厳しいと思えるルールにも、それができた理由があるので、ルールに反発する保護者には、そうした理由をきちんと話しています。

Dさん ルールというのは、社会に出れば、それこそさまざまなルールがあります。そのルールを学ぶ第一歩が中学校の校則だ、と理解してほしいと思います。

Eさん 私もそう思います。よほど現実離れしたルールでなければ、学校のルールを守る意識を子どもも保護者も持ってほしい、と思います。

Aさん 給食費や教材費の未納の問題もそうです。実際、こうした費用の集金も教員の仕事なのですが、これは大きな負担になっています。

Bさん 国では子ども手当や高校の授業料無償化が進められています。そういう政策よりも、義務教育である小学校や中学校の教材費や給食費に充てる政策のほうが、教育現場の改善につながると感じています。

気になることは率直に担任に話してください――感情的にならず、冷静に事実を伝えてほしい

Dさん 新入生が陥りやすい問題の1つは不登校です。埼玉県の統計によると、中学1年生の不登校は小学6年生の3倍にのぼるそうです。不登校を未然に防ぐためにも、学校と保護者間のコミュニケーションがとても重要です。

Bさん 気になることがあれば、率直に担任に相談してほしいですね。

Eさん その際、電話やメールではなくて、直接会ってお話しいただきたいと思います。

Dさん また、不登校と並んで大きな問題であるいじめについては、いじめの事実が発覚したとき、具体的にどういうことがあったのかをきちんと事実確認しないと解決にはつながりません。ともすると、自分の子どもがいじめられている、と思っただけで逆上して感情的に学校側を非難する方がいますが、ぜひ冷静に話し合って解決に結びつけていけるよう、お互いに努めていきたいと思います。

Aさん その通りですね。冷静に話して対応していただくことが早期解決にもつながります。子どもや、あるいは子どもの友だちからいじめがある、と聞いた場合には、「いつ、どこで、誰が、何をした」などの具体的事実を聞いていただきたいと思います。そうすれば、学校側もその事実を確認したうえで、適切な対応をしていけます。

Cさん ともかく、保護者と教師が適切な連携をとっていくことが大切です。そのためにも、子どもの変化をキャッチする観察力をお互いに持っていたいですね。


中学校 Q&A

 中学校への質問・疑問に現場の先生がお答えします。

部活と勉強

Q1 部活の練習でくたくたに疲れてしまって、家に帰ったら勉強に身が入らないようです。部活と勉強の両立が心配です。

A1 中学校生活に慣れない1年生に多い悩みだと思います。しかし、夏休みを越えたころには1年生でも体力と集中力がついてきます。その上で、練習で疲れている場合、夜は早く寝てすっきり疲れをとり、朝、早起きして勉強する朝型や、短い時間を有効利用する短期集中型など、勉強スタイルの工夫をお勧めします。
「勉強するために部活をやめます」という生徒もいますが、部活から解放されてほっとしてしまい、勉強への集中力までなくなってしまったケースが少なくありません。逆に言えば、部活動をがんばれる生徒は勉強もがんばれるといえます。お子さんの状況をよくみながら、適切なサポートをしてあげてください。

家庭学習

Q2 小学校のときから家庭学習をしてなかったので、中学校に入っても定期試験前しか勉強しません。このままいけば、高校受験がどうなるか心配です。

A2 家庭学習の基本は授業の予習復習です。例えば帰宅後、5教科(国語・数学・英語・理科・社会)のうち、その日授業のあった科目のノートを開いて習った内容を確認し、宿題があればそれを行ない、翌日授業のある科目の教科書のページをながめて終了、それだけでよいのです。また、その日の授業を振り返って、どの教科でもよいので「ポイントをまとめる」「問題を解く」「漢字や単語などを繰り返し練習する」などの学習を1日1ページ毎日続ける「1日1ページ学習ノート」をつくるのもいいでしょう。1ページだけやればよい、と思うとがんばれるものです。この家庭学習を続ければ、定期試験のみならず、高校入試にも威力を発揮するでしょう。

教師の体罰

Q3 子どもが授業中、ある教師から体罰を受けたと聞きました。その教師はほかの生徒にも体罰をすることがあるそうです。どうすれば止めさせることができるでしょうか。

A3 教職員の体罰は法律によって自己防衛の場合を除いて禁じられており、絶対に行なってはいけない行為です。自分の子をはじめ、体罰を受けたほかの子にも詳しく様子を聞いて事実を確認した上で、学校長に話し、対応してもらうべきです。その際、「だと思う」「のように感じた」というあいまいな話ではなく、「いつ・どこで・誰が・どういう体罰を受けた」とはっきり伝えて、体罰を今すぐ止めるように指導監督してもらいましょう。ほとんどの場合、校長の指導で解決しますが、それでも改善されない場合は、教育委員会に相談してください。場合によっては、暴行事件として起訴することも視野に入れたほうがよいかもしれません。

いじめ

Q4 子どもの友だちから聞いたところによると、うちの子が学校でいじめにあっているようなのです。しかし、本人は話してくれません。この場合、どうすればよいでしょうか。

A4 自分がいじめられていることを知られたくなくて、いじめのことを言い出せない子どもは多くいます。どのようないじめが、いつごろからあるのか、相手は誰なのか、周りの子も知っているのか、担任の先生は気づいているかなど、教えてくれた友だちに聞いてみてください。そして、子ども本人にも、友だちから聞いたことを話し、問い詰めたりせずに事実かどうかを確認してください。
 その上で、担任に連絡をとり、そうした事実を伝えて、対処してもらいましょう。もし学校側の対応が進展しないようであれば、担任と学年主任または学校長に同席してもらって相談してください。
 子どもと一緒に解決に取り組む姿勢が大切です。

携帯電話・スマホ

Q5 携帯電話・スマホの「プロフ」(※1)に悪口を書かれて、子どもが落ち込んでいます。こういう場合、何か対応策はあるのでしょうか?

A5 チェーンメール、迷惑メール、「なりすまし」など、ネットトラブルの問題は、今や子どものトラブルナンバーワンかもしれません。学校裏サイトには、教師や生徒の悪口が書きたい放題になっていたり、メールのやりとりだけでケンカをして、1度も直接話さずに絶交したケースもあります。
 本当は、中学生の間は携帯電話やスマホを持たせないほうがよいのですが、友だちが持っているのでうちの子にも、というのが現実のようです。その場合、「なんのために必要なのか」を話し合い、「使用の目的」をはっきりさせることです。
 お子さんがプロフを作り、そこに誰かから悪口を書かれた場合、相手がわかるのなら本人に直接言って止めさせるか、担任に相談してみてください。相手がわからない場合は、気にしないようにすることです。それでも、気になって見てしまう場合は、そのプロフ自体を削除するのも1つの方法です。また、「死ね」「殺す」など危害を与えるようなことが書かれている場合には、教育委員会や警察に相談したほうがよいでしょう。

(※1)プロフ(プロフサイト)は、プロフィール・サイトの略で、ネット上に自己紹介ページを作成できるサービスを利用した個人のホームページ。その多くは、掲示板に書き込みなどができるため、友人や知人との交流の場にもなっている。

☆月刊誌『灯台』2010年4月号より