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(小学校)教師座談会 大切なのは学校と家庭との信頼関係

灯台編集部編

 期待と不安が入り混じる新入学。ベテラン先生に入学前や新学期のアドバイスを聞きました。
 

[座談会参加者]
Aさん:東京都/教諭歴21年/副校長

Bさん:東京都/教諭歴35年/特別支援学級担任

Cさん:千葉県/教諭歴29年/小学1年担任

Dさん:埼玉県/教諭歴26年/小学4年担任

Eさん:神奈川県/教諭歴19年/小学2年担任

家庭でしておきたい新入学の準備

Aさん まずお願いしたいのは、ひらがなで自分の名前を読めるようにしておくということですね。

Dさん 持ち物や靴箱などを間違えないためにも、必要なひらがなは覚えておくことが大切ですね。

Cさん 身支度も自分でできるようにしておいてほしいですね。

Eさん 体育の時間のとき、自分で着替えられない子どももいます。

Bさん 驚くのは水泳の授業の後などに、教室にパンツの忘れ物があることです。気づかないのか、相談できないのかもしれません。

Eさん たしかにパンツは落ちてます。

Aさん 自分が使ったものは元に戻すという習慣もつけておいてほしいと思いますね。

Cさん また自分の欲求をきちんと言えることも大切です。「せんせい、おしっこ」とか。

Dさん それも基本ですね。それと話を最後まで聞けるように、できれば毎日、時間をかけて家で子どもと会話をしてほしいと思います。

Bさん 話の途中に「わかった」と言う子が多いのも気になります。

Cさん また「かして」「ない」しか言えない子もいます。「消しゴムかして」と相手がわかるように自分の気持ちを言葉にして伝えられるとよいと思います。

Bさん それは子どもとゆっくり対話をすることで自然に身につきます。ぜひ家庭で取り組んでほしいです。

昔と比べて大きく変わった子どもたち

Dさん 昔と今の子どもは、かなり違います。たとえば、最近の新入生はまっすぐに座っていられない子が多く、すぐ斜めや前屈みになってしまいます。

Cさん 自分の順番が守れない子が多いです。今の子はジッと我慢していることが苦手ですよね。

Dさん 新入学生が、勝手に教室を立ち歩きしたり、教室の外へ出ていったり、担任の話を聞けない「小1プロブレム(問題)」もあります。

Bさん 普段から我慢する経験が少ないからかもしれません。

Aさん 人間関係をつくる力も弱い感じがします。軽くぶつかったり、消しゴムを勝手に使われたというような些細なことでも、大きなトラブルになることも多いですね。

Cさん 昔なら子ども同士で解決したようなことでも、担任が間に入らないと解決しないこともあります。

Eさん 私は1年生から「疲れた」と言う子が増えているのが気になっています。朝のホームルームで「疲れたぁ~」と言って机にうつぶせになっているんです。

Aさん いますね。早寝早起きの生活習慣がきちんと身についていないからだと思います。

Dさん そう思います。

Bさん 1年生なら、できれば夜は8時までには寝るように習慣づけてほしいです。そうすれば朝はお腹をすかせて、朝食も美味しく食べられます。

Aさん 大切ですね。家庭では、正しい生活リズムが身につくように心がけてほしいです。

Cさん 正しい生活リズムは、学力や体力、集中力や持続力の向上の基本ですから。

困った保護者、困った先生たち

Cさん 入学式の記念撮影で、自分の子どもが中心ではないから撮り直してほしいと言ってきたお母さんがいました。ひと昔前ならなかったような出来事です。

Dさん 深夜や日曜日の早朝に、担任の家に電話をかけてくる保護者もいます。

Cさん そうですね。私もそのような電話を受けたことがあります。

Eさん もちろん緊急の連絡の場合は別ですが、子どもの学校生活の様子や進学相談など、急を要しないような内容なら、保護者面談や普段の放課後などにでも、直接話をしたり、また電話をするなど、担任と保護者で、情報を共有すればよいことですね。

Aさん ある学校では、保護者が学校に何度も何度もクレームの電話を入れたことがあったそうですが、そのために使った電話代やコピー代などを請求してきた方がいたそうです。

Bさん 最近マスコミでも騒がれていますが、担任や学校に対し自分の子に関する理不尽な苦情や無理難題な要求を突きつける〝モンスターペアレンツ〟と呼ばれる保護者は、増えているように思います。

Aさん しかし問題の原因は保護者の側にだけあるのではなく、場合によっては、学校や教師の側にもあるのです。「学級崩壊」も子どもたちや家庭教育だけが原因ではなく、責任の一端は、教師の側にもあるのではないでしょうか。

Eさん ベテランの先生にも、感情的になりやすい先生や意固地な先生もいますが、教師はどこまでも子どもたちの気持ちに寄り添い、子どもたちの成長のために日々努力し工夫していくことが大切だと思います。

Dさん そうですね。大切なのは、常に子どもと向き合い、信じ抜く姿勢ですね。

学校や担任は子どもと保護者の味方――モンスターペアレンツにならないために

Eさん 携帯メールが普及し、今はお母さんたちの間で情報が広がるのが早いですね。

Dさん ある学級で起こったことが数時間後には学年のほとんどのお母さんが知っていたりします。

Cさん 情報の扱い方を間違え学校への不信感が強まると、子どもの学校生活に悪影響を与えます。子どもの成長には学校と家庭の両輪が必要です。学校も保護者もどちらも子どもの味方だからです。

Cさん その通りですね。何かあると担任を〝敵〟のように思い攻撃的になってしまう保護者の方もいます。

Dさん そうなると、話し合いもうまくいかず、いっそう問題がこじれてしまいます。やはり大切なのは、教師と保護者、学校と家庭が信頼し合うことですね。

Eさん そうですね。問題は問題としてしっかりと受け止め、責め合うのではなく、どう協力して問題を解決していくかが大切ですね。


小学校 Q&A

 小学校への質問・疑問に現場の先生がお答えします。

不登校の心配

Q1 幼稚園のときも毎朝連れて行くのが大変でした。小学校で不登校にならないかと心配です。

A1 大切なことは、お母さん自身があまり心配しすぎないことです。お母さんが心配すると、その気持ちが子どもにも知らないうちに伝わってしまいます。子どもも自然に神経質になっていくものです。
 心配するのではなく、お母さん自身がリラックスすることです。そして毎日、「いいなぁ、もうすぐ入学だね。学校って楽しいよ」と、学校のよいところ、楽しいところを探して、子どもに語りかけてあげてほしいと思います。

落ち着きがない

Q2 落ち着きがまったくありません。入学してから、授業をちゃんと受けられるか、みんなの邪魔をしないか心配です。

A2 落ち着きがないという場合に、2つ原因が考えられます。1つは生活習慣の乱れや家庭の教育力の低下などの原因です。生活習慣を見直し、「早寝・早起き・朝ごはん」を基本に、家庭で改善することができます。
 もう1つは、発達障がいなどが原因になっている場合です。気になることがあれば、素人判断ではなく、医療機関や自治体の教育センターなどの専門機関に相談するようにしてください。

いじめの対応

Q3 気持ちをうまく言えない子で、いじめが心配です。学校でのいじめへの対応を教えてください。

A3 いじめは教師に見えない場合が多いのです。放課後や休み時間に行なわれることが多く、いじめられている子ども自身もそのことを言うことが少ないからです。
 子どもの様子がおかしい、持ち物がすぐになくなる、体に傷やアザがあるなど、担任の教師に相談して情報を共有することが大切です。もしも担任の対応だけでは心配なら、学年主任や学校長に直接相談することも大切です。

転校の心配

Q4 とても内気な子です。転校先で友だちができるか心配です。

A4 入学の事前相談のとき、お母さんの心配をそのまま担任の教師に話すとよいと思います。
 転校生に対して担任は、普通は早くクラスに馴染めるよう、いろいろと気をつかっています。お母さんからの相談があれば、さらに子どもの状況に応じて、明るく世話好きの子の隣の席にしたり、近くの家の子どもに一緒に下校してもらうなどの配慮をしてくれると思います。

勉強の習慣

Q5 勉強の習慣を身につけるには家庭で何をすればいいでしょうか。

A5 小学校に入学したら、夕方20分、テレビを消して一緒に机に座るようにしてください。リビングのテーブルなどがよいでしょう。
 子どもと一緒に座り、最初は鉛筆の持ち方や消しゴムの使い方など勉強の基本を、楽しく教えてほしいと思います。その後は、横で本を読んだり家計簿をつけるなど、子どもと一緒に机に向かう時間をつくってあげてください。

☆月刊誌『灯台』2010年4月号より