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(幼稚園・保育園)教師座談会 生活習慣を園に任せきりにしないで

灯台編集部編

 子どもは保護者に合わせて生活リズムを形成します。保護者と園が協力して子どもの成長を育んでいくことが大切です。
 

[座談会参加者]
Aさん:東京都・保育園勤務(保育士歴25年)

Bさん:東京都・幼稚園勤務(教諭歴33年)

Cさん:千葉県・保育園勤務(保育士歴26年)

Dさん:保育士養成所勤務(保育士歴24年)

Eさん:神奈川県・保育園勤務(保育士歴28年)

夜更かしする子が急増

──最近は朝、なかなか起きられない子が多いと聞きます。

Aさん そうした子どもを見かけるようになってきました。やはり保護者の生活時間に合わせて、子どもも生活するので、親が夜遅くまで起きていると、子どもは夜更かしするようになりがちですね。

Bさん また、寝る前にビデオやDVDを見て、興奮して寝付けなくなる子どももいるようです。特に戦隊ヒーローもののビデオだと余計に興奮して眠れなくなってしまいます。

Cさん 夜更かしの影響は睡眠不足だけではありません。夜更かしをすると、朝も起きられず、その結果、朝食が食べられないのです。

Dさん 母親が朝食を食べないので、子どもも朝食を食べないというご家庭もあります。忙しくてなかなか朝食を作るのが難しいという方もいらっしゃるかもしれませんが、前日に作り置きするなど、工夫をしていただきたいですね。

Eさん 昔は口周りを汚してくる子どもたちに「ちゃんとお口の周りをきれいにしようね」と注意をしていたものですが、最近は、口の周りが汚れている子どもを見ると、この子は朝食を食べてきたんだな、とホッとするほどです。

Aさん 夜更かしをしたり、朝食を抜いたりすると体がだるかったり、頭がボーッとしてしまいます。

Bさん 「早寝早起き朝ごはん」と提唱されている通り、これらの生活習慣は子どもの成長にとって重要なものです。

Dさん 入園時期や学年が変わる時期は、生活リズムを立て直すいい機会です。ぜひ取り組んでいただきたいですね。

園に任せきりではなく保護者と園が一緒に

──園に対して保護者から、どんな相談や意見が寄せられますか。

Cさん 園でのお子さんたちの様子を知りたいという方が多いですね。

Eさん 昔より教育に対する意識は高いかもしれません。

Dさん 教育に関する本や雑誌などを読む保護者も増え、「園に協力したい」と言ってくれる方もいらっしゃいます。最近はお父さんの育児への参加意識も高まっているように感じますね。

Aさん 残念なことですが、一方でなんでも園でやってもらえると思っている方もいます。たとえば、はしの使い方などを「園で教えてください」と言う人もいます。

Dさん しつけやマナーなどは園でも教えますが、本来は家庭で教えるべきものです。

Cさん そうした背景には、核家族化が進み、近くに相談できる人がいないことや、ご近所付き合いが希薄化していることも影響しているのではないでしょうか。

Aさん 涙ながらにご自身の育児の悩みや、ご家庭のことを相談してくださる保護者もいらっしゃいます。

Eさん 初めて育児をされる保護者は、園という環境も初めての経験です。分からないことがあれば遠慮しないで相談をしてほしいですね。

Bさん ただ、園に任せきりではなく、家庭と園が一緒になって、子どもたちの成長のために関わっていくことが大切だと思います。

もう少し子どもの気持ちを考えて行動を

──困ったケースなどはありますか。

Eさん 子ども同士の問題に過度に関わる保護者の方には困ることがありますね。

Bさん 園で子ども同士がケンカをするのは当たり前で、ケンカも成長過程の1つです。それが、保護者が口を出しすぎてトラブルにつながってしまうこともあります。

Dさん 園庭でまったく砂遊びをしない子どもに、「どうしたの?」と聞くと、母親から「洋服を汚さないように」と約束させられたということでした。思いっきり、遊ぶことも大切なのに、洗濯が大変だから、と遊びを制限する保護者もおられたり……。

Cさん 最近は、家族旅行の日程が保護者の都合だけで決まることが少なくないようです。家族が一緒に出かけるのは大変によいことなのですが、できればひと言相談をしていただきたいですね。
 たとえば、運動会が近づいているときなど、旅行で休まれると、運動会前の練習ができません。みんなで1つの目標に向かって練習することが貴重な体験になるのに、残念だな、と思ったりします。

限られた時間の中で目一杯の愛情を注ぐ

──保護者に望むことはありますか。

Bさん 最近の保護者は子どもの表情を読み取ることが苦手なように感じます。子どもの表情は、子どもが園で楽しく過ごせているかどうかのバロメーターです。

Aさん 子どもがしょんぼり帰ってきても、すぐに根掘り葉掘り聞かないでほしいと思います。まず、おやつを出すなどして子どもの気持ちをほぐしてから、やさしく聞いてあげるようにしたり……。

Cさん 最近は共働きの家庭も増えてきており、「なかなか子どもと接する時間がもてない」と相談されることもあります。

Bさん 短い時間でも最大限に愛情を注いでいくことが大事ですね。

Cさん 「悲しい思いをさせたくなくて、つい『すぐ帰ってくるからね』ということばをかけるものの、なかなか時間通りに帰れなくて…」と、悩まれている方もいらっしゃいます。

Aさん そうしたことがあった場合、素直に「ごめんね」と謝ったあとで、真っ先に帰って来たことを伝えてほしいですね。

Dさん 子どもはことば以上に接する態度から、保護者の気持ちを敏感に感じ取っています。ですから一つひとつの機会で目一杯の愛情を注いでほしいと思います。

Bさん また、登園を嫌がる子どももいますが、保護者は笑顔をくずさず、明るくお子さんをバックアップするよう心がけてほしいですね。

Cさん 子どもたちは、最初は、園の生活に慣れなくて、とまどっていても、次第に子どもなりに見通しができて、落ち着いて過ごせるようになります。保護者の方はあせらずに日々成長していく子どもをあたたかく見守ってほしいですね。


幼稚園・保育園 Q&A

 幼稚園・保育園への質問・疑問に 現場の先生がお答えします。

入園前の準備

Q1 入園前に保護者として準備をしておくことはありますか。

A1 自分で靴がはける、洋服を着替えることができる、それができれば大丈夫です。あれも、これも、とやらせないようにしてほしいですね。
「これができないと、園には行けないよ」と言わないでください。そうすると、子どもは園を「こわいところ」と思ってしまいます。初めて家や保護者から離れて1日を過ごす場所です。「園は楽しいところ」と、期待して待つように仕向けてほしいですね。

家庭の支援

Q2 子どもが園という環境にスムーズに慣れるために家庭でできる支援はありますか。

A2 まず子どもが家庭でリラックスできる環境づくりをしてほしいですね。
 新しい世界で子どもたちも緊張しています。家ではわがままも言いたいし、不機嫌な自分を出すこともあります。その姿をそのまま受け入れ、やさしく包んであげてほしいですね。
 お風呂の中で話をしたり、寝る前に絵本を読んだり、親子で気持ちのよい時間を持てるとよいですね。

いじめ

Q3 もし子どもが「いじめ」にあったら、どうすればよいでしょうか。

A3 3歳くらいだと、うまく言葉が使えず、つい手が出てしまうこともありますが、いじめではありません。
 おもちゃを取り合ったり、自分の思い通りにいかず、時にケンカをする中で、相手の存在を知り、ゆずったり、ゆずりあったり、一緒に使えるようになっていきます。どれも発達段階で起こることです。子どもは子どもの中で成長していきます。子どものケンカに神経質にならず、長い目でみてほしいと思います。

登園の嫌がり

Q4 入園後、子どもが登園を嫌がった場合、どのように対応すればよいでしょうか。

A4 新しい環境は大人でも緊張するものです。まして子どもにとって、初めての集団生活です。家庭をその日の緊張や疲れを癒せる場所にしてください。
 もし登園を嫌がった場合は、何を嫌がっているかで対処法が違います。園と相談しながら、対応しましょう。保護者の方にお願いしたいのは、決して園や先生の悪口を言わないでほしいということです。子どもは保護者のことばや態度に敏感に反応します。悪口を聞いてしまうと、園を嫌なところ、と思ってしまうかもしれません。

☆月刊誌『灯台』2010年4月号より