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才能を開花させた幼児期の家庭教育

灯台編集部編

 一流のスポーツ選手や芸術家が、幼児期にどのような家庭教育を受けて才能を開花させたのか? そこに迫る4冊の本から、引用なども交えて実例を挙げながら紹介する。

子どもの才能を伸ばす親の環境作り

「子どもはあまり何も考えず親や先生などの真似をするからこそ、短期間のうちに多くのことを身に付けるのではないでしょうか」と語る五嶋節さんは、2人の世界的なバイオリニストを育てた。(『「天才」の育て方』
 そんな彼女は、「子どもが繰り返しの稽古に耐え、途中で投げ出さないで何かを継続させていくには、子ども自身がそれ自体に興味を持っていることが大切」とも語っている。子どもに興味のないものを無理にやらせるのは難しいのだ。
 五嶋家の子ども2人がバイオリンを弾くようになったのは、バイオリンを弾く人が周りにたくさんいたことが大きく影響していた。
 五嶋節さんは語る。「スポーツ観戦をしたり、いっしょに音楽を聴いたりして、子どもが何かに興味を示すように親がもってゆくことは可能です。そしてそれは、親のつとめだとも思います」。

興味あることには徹底的に集中させる

 子どもに興味のあるものを与え、それを継続させていくためには工夫が必要だ。
 イチローの父はイチローが練習に飽きてくると、その日の練習メニューを無理にやらせなかった。ある時は相撲をとり、またある時は好きな練習に切り替え、とにかく楽しむことを第一に考えた。(『天才は親が作る』
 また、子どもが興味を示したことを徹底的に後押しした姿が描かれている『千住家の教育白書』(新潮文庫)には、長男がクレヨンで自宅の壁、襖、柱にいたるまで絵を描き続ける場面が出てくる。
 このことに対して夫妻がとった対応は、「おそるべき集中力をもっている。放っておこう」だった。他の場所でやってはいけないと教えはするものの、自宅においては描かせ続けたのだ。
 何かに集中した経験のある子は、興味の対象が変わっても集中できる。もしもあの時叱っていたら、長男の心に生まれた新芽を摘み取っていただろうと、千住家の母は振り返り綴っている。

〝ほめ上手〟になろう!

 ここで紹介している著書に出てくる親たちに、ほぼ共通するのは〝ほめ上手〟であるということ。プロゴルファーの宮里藍などを育てた宮里家では、スキンシップも会話の1つだと考え、時には抱きしめて励ました。
 五嶋節さんは「先生は子どもをほめるべきだ」と考え、子どもに何かを教える際に一番大切にしていたことは、「子どもに対する最大限の敬意です」と語っている。
 また、子どもが何かを集中して行なう時、肉体的にも精神的にも大変なプレッシャーを感じているということを忘れずにいると、何か1つのことをできるようになった時、子どもに対する愛おしさが込み上げてくるのだそうだ。
 たとえ注意をする必要があった場合でも、元プロテニスプレーヤーの杉山愛の母は「ママはこう思うけどあなたはどう?」と言った。(『天才は親が作る』
 一流のスポーツ選手や芸術家を育てた親たちは、杉山愛の母のように、親の判断を押しつけないことで子どもの自主性を育てたのだ。

☆月刊誌『灯台』2011年9月号より